無人惑星サヴァイヴ

□第5話
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明け方、空が白んできた頃−−



辺りには少し濃い霧が出ていて、視界が悪い



そんな中近付いてくる、何かの足音



ルナ「・・・っ?」



先に気付いたルナが目を覚ます



カオル「?」



アスカ「・・・?」



眠っていたカオルとアスカも、音に気付いて目を覚ました



ルナ〈こ、これは・・・?〉



席を立ったルナが、カオルとアスカを振り返る



ふたりが頷いたのを見てから、静かに声を掛ける



ルナ「みんな、起きて。起きて!」



メノリ「どうした、ルナ?」



シャアラ「もう朝なの?」



ハワード「なんだよ、うるさいなぁ・・・」



ルナ「シィッ!聞いて、外で物音がするの」



ハワード「?」



シンゴ「・・・・・・何も聞こえないけど?」



ハワード「空耳じゃないのか?」



ルナ「そんなことない!確かに聞こえたの。ね、カオル?アスカ?」



彼女に同意するように、カオルとアスカは同時に頷いた



ハワード「・・・・・・やっぱり聴こえないじゃないか」



ルナ「おかしいなぁ・・・」



外が静かになり、アスカは疑問を持つ



音は確かに聞こえたし、“気配”も感じる



だがその気配は、いつも感じている“あの気配”とは違う



確かに、生きているモノの気配だ



“あの気配”ならば、容易に場所を特定できる程、アスカは感じ取れる



だが、生きているモノの気配を、そこまで完璧に感じ取ることはできない



アスカ〈でも、どこに?〉



シャアラ「きゃあぁぁぁ!」



アスカ「【ピクンッ】!?」



考え事をしていたせいか、アスカはシャアラの悲鳴に少し驚いた



ルナ「どうしたの、シャアラ?シャアラ!」



シャアラ「ままま、窓!な、何かいる!」



ルナ「え?」



シャアラが指差した、フロントガラス



そこに目を向けるが、何もいない



ハワード「おどかすな。何もいないじゃないか」



だが次の瞬間、シャトルが揺れた



ハワード「な、なんだ今のは・・・?」



シンゴ「やっぱり何かいるんだ・・・!」



メノリ「まさか昨日の・・・?」



ハワード「なんだって!?」



またシャトルが揺れ、シャアラが怯えた声で叫ぶ



シャアラ「いやぁ!いやぁ!いやぁー!」



ハワード「黙れ!黙れって言ってるだろ!!」



ハワードが叫んだ後、揺れは収まって静かになった



シンゴ「・・・止まったよ」



それに頷いたルナが、窓に近付く



メノリ「どうだ?」



ルナ「霧で何も見えないわ」



シャアラ「食べられちゃう!皆食べられちゃうわ!!」



メノリ「落ち着け、シャアラ。昨日のヤツと決まったわけじゃない」



シャアラ「でも・・・」



ハワード「ギャアギャア、ギャアギャアうるさい女だ」



腕を組んだハワードが言うと、また揺れ始めた



ハワード「な、何してるんだ!?」



シンゴ「シャトルを壊す気か?」



チャコ「ウチらなんか食うても美味ないでぇ」



すると今度は、機体の左側が持ち上げられ、落とされた



すっかり怯えきっているシャアラは、先程からずっと涙を流している



シャアラが悲鳴をあげようとした、その時だった



ハワード「パパーーー!!!」



その声を聞いて、シャアラはハワードを見る



今度こそ本当に揺れが収まり、足音のようなそれは遠ざかって行った



ルナが慌てて窓から外を見るが、影しか捉えることは出来なかった



ルナ「・・・行っちゃったみたい」



安堵するハワードの隣では、本格的に泣き出してしまったシャアラがいた



心配そうに見つめるルナだったが、この場では何も言わなかった



明るくなり、霧も完全に晴れた頃



全員が外に出て確認した



シンゴ「それにしても大きいなぁ」



シャトルの周りや左翼には、大きな足跡がついていた



シンゴ「こんな大きな足跡、見たことないや」



ルナ「硬いシャトルが、こんなにへこんじゃうなんて・・・」



メノリ「足跡があるということは、昨日の蛇みたいなのとは別の生き物だな」



ハワード「ったく!次から次へ。一体どうなってんだ、この星は!」



チャコ「足の大きさからして、体調は30m」



ハワード「うぇ!?30m!?」



チャコ「いや、50mかもしれんなぁ」



ハワード「ご、50m!?」



チャコ「ヘヘッ、せいぜい10mや」



ハワード「へ?〜〜〜っこのぉ!!」



ルナ「これからどうする?」



メノリ「うん、そうだな」



ハワード「決まってるだろ!さっさとシャトルを修理して、この星から脱出するんだ!」



チャコ「それは無理やな」



ハワード「どうして!」



チャコ「シャトルの推進システムは、完全にイてもうてる!」



シンゴ「修理できたとしても、シャトルの力だけでは重力圏を脱出できないんだ」



ハワード「ホントか・・・?」



チャコ「これやからボンボンは困るで」



ハワード「何ぃ!」



メノリ「問題はここがどこかということだ。通信機は直りそうか?」



シンゴ「なんとも言えないな」



チャコ「修理できたとしても、かなり時間はかかるで?」



メノリ「ベストを尽くしてくれ」



シンゴ「うん!」



ハワード「こいつら次第かよ!」
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