無人惑星サヴァイヴ

□第8話
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湖を見つけてから数日



日差しが強く、湿度の高い森の中を3時間も往復して取りに行く



それをひたすらに繰り返していた



ハワード「もっと水くれよ」



メノリ「駄目だ、残りが少ない」



ハワード「どうせ今日も汲みに行くんだろ?」



メノリ「その前にやることがある」



ハワード「なんだよ、やることって?」



シンゴ「これだよ」



シンゴの言葉に視線を向けると、ベルがボロボロになったゴムボートを広げて持っていた



あの時、海蛇に襲われたメノリとハワードが乗っていたボートだ



ハワード「ゴムボートじゃないか?」



シンゴ「そうさ。大きな穴を掘って、その穴にこれを敷くんだ」



ルナ「わかった!そこに水を貯めるってわけね!」



シンゴ「正解!」



チャコ「それやったら、何回も水汲みに行かんで済むもんな」



早速、朝食後に行動を開始する



ルナ、シャアラは手で掘る



チャコも手を使って、まるで犬かきのように掘る



カオルはオールを使って掘る



それを見ていたハワード



ハワード「カオル、それ貸せよ」



が、無言で睨まれる



ハワード「この程度の砂、手で楽勝だ!いってぇ!柔らかいのは上の方だけだぞ・・・!」



メノリ「少しぐらい我慢しろ」



シンゴ「使えそうな物があったから、持ってきたよ」



ルナ・シャアラ「「ありがとう」」



シンゴ「アスカも使いなよ」



アスカ「あ、ありがとう・・・」



ハワード「僕のは?」



シンゴ「え?もうないけど」



ハワード「じゃあそれ、寄越せ!」



シンゴ「これは僕が使うんだ!」



メノリ「よさないか、ハワード!」



道具の取り合いを始めたハワードとシンゴ



だがベルが作ったらしい道具を見て、ハワードは態度を変える



ハワード「こっちの方がいいや!助かったぜ!」



取ろうとするハワードだが、ベルの手はなかなか離れない



ベル「・・・大事に使ってくれよ」



ハワード「このぉ!お前、誰に向かってそんな口利いてるんだ!?」



メノリ「ハワード!お前は向こうを掘るんだ!」



ハワード「うるさいな!だいたいお前はなんなんだよ!自分はなんにもしてないのに、偉そうに指図ばかりしやがって!」



メノリ「お前がそう取るのは勝手だが、みんなを統率し、正しい指示を与えるのがリーダーとしての私の役目だ」



ハワード「お前がリーダー?誰がそんなこと決めた?修学旅行の続きやってんじゃないんだぞ」



メノリ「じゃあどうしたいんだ?」



ハワード「僕がリーダーをやる」



メノリ「お前が?リーダーに最も適さないのは、自分勝手で臆病で、統率力のカケラもないお前のようなタイプだ」



ハワード「な、何ィ!?」



ルナ「ふたりとも、やめて!」



シンゴ「そうだよ。だったら、誰がリーダーに適しているか、しばらく様子を見てから決めようよ」



ルナ「そうね」



シャアラ「賛成!」



ベル「うん」



ルナ「カオルとアスカもそれでいい?」



カオル「ああ」



アスカ「うん」



ルナ「じゃあ、決まりね」



ハワード「ちっ」



メノリ「良いだろう」



アスカ「・・・ハァ・・・」



ある程度の深さまで掘ると、その場をチャコに任せてみんなで湖へと向かうことに



カオル「止まれ!」



最後尾を歩いていたカオルが、声を上げた



ハワード「ば、化け物か?」



みんなが警戒する中、アスカは平然とした態度で正面を見ている



悪意も殺気も感じない



この気配なら問題ないと、アスカはすぐにわかったからだ



そんなアスカの様子を見て、カオルも少し警戒心を緩めた



現れたのは、大トカゲに遭遇するきっかけとなった、あの小動物だった



ハワード「なんだ、おどかしやがって!」



シャアラ「わぁ!」



嬉しそうな声をあげたシャアラだったが、小動物はすぐに走り去ってしまった



シャアラ「可愛い!ねぇ、あの子のこと、トビハネって呼ばない?」



ルナ「トビハネ?」



シャアラ「うん。ぴょんぴょん飛び跳ねるのが、得意みたいだから」



ルナ「そうね、いいかも」



メノリ「水を確保したら、そのトビハネを捕獲しよう」



シャアラ「え、飼うの?」



ハワード「食料だよ」



シャアラ「えっ」










湖に到着し、それぞれは顔を洗ったり水を飲んだりする



ルナ「ここにみんなで来るのも久し振りね・・・あ、そうだ!シャアラ、この湖にも名前つけてくれる?」



シャアラ「え?そうね・・・妖精の湖。フェアリーレイクってどうかしら?」



ルナ「へぇ、フェアリーレイクか・・・いい名前ね」



そう言って水面を眺めていたルナ



その彼女を、ハワードが後ろから押し出した



突然のことに踏ん張り切れず、ルナは湖に落ちてしまった



シャアラ「ルナ!」



ハワード「はははっ!」



ルナ「ハワード!悪ふざけはやめて!」



アスカ「大丈夫?ほら」



ルナ「ありがとう、アスカ」



その時だった−−
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