遊戯王5D’s

□デュエル・オブ・フォーチュンカップ編
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遊星「4人目・・・?」



リーシャ「4人目」



遊星「どういう意味だ」



リーシャ「みんなまだ、完全には覚醒していません。でも、これでやっと4人目。シグナーは、あと1人。あと1人で、やっと揃います」



遊星「・・・?」



リーシャ「“シグナー揃いし時、赤き竜に愛されし天空の巫女現れん”」



遊星「天空の巫女?」



リーシャ「私もまだ、覚醒していません。完全に覚醒することは、不可能です。思い出がないから」



氷室「思い出がない?」



天兵「もしかして、記憶喪失?」



遊星「!?」



リーシャ「天空の巫女は、神出鬼没。そこにいるのに、ここにいない。体はあるのに、心がないから、わからない。心は、奥底に沈んでいるから。巫女になる前と同じ、普通の女の子になる。普通の女の子である私には、巫女である私の時の記録がない」



龍亞「あ、あのさぁ。何言ってんのか全然わかんないんだけど!?」



リーシャ「私はあの子。あの子は私。でも、あの子には私の時の記録がない。だから知らない。自分の運命を。もうすぐ、私も消える・・・・・・不動遊星」



遊星「!」



ここでようやく、少女が顔を上げた



少し幼さが残っている顔だ



優しそうな、だがどこか悲しそうな深紅の瞳が、遊星を真っ直ぐ見つめてくる



自分より背の低い、小柄な少女が真っ直ぐ見上げてくる



リーシャ「守ってあげてください。この時代を生きる、私ではない私を。この時代を生きるべき、私ではない私を。助けてあげてください。守ってあげてください」



遊星「ちょっと待て!どういう事なのか説明をーー!」



リーシャ「ほら、戻ってきた。何も知らない、普通の女の子の私が。約束してください。私ではない私を、助けてあげてください。守ってあげてください。お願い、しま・・・す・・・」



遊星「おい!?」



突然、ふらりと体が傾いた少女を受け止める遊星



遊星「しっかりしろ!おい!」



雑賀「大丈夫。寝てるだけだ」



遊星「寝てるだけ?」



龍亞「なんなんだよ、この姉ちゃん?わけわかんないこと喋るし、急に倒れたと思ったら寝ちゃうし」



雑賀「・・・・・・」



氷室「どうした、雑賀?」



雑賀「いや・・・さっきこの子が言ってたことが、まるで暗号みたいに聞こえたんだが・・・」



遊星「暗号?」



雑賀「巫女になる前と同じ、普通の女の子になる。普通の女の子である私には、巫女である私の時の記録がないーー要するに、天空の巫女とやらはこの子自身の事で、今さっきまでの記憶はこの子にはない。自覚してないだけの二重人格者、とか。記録っていうのが記憶のことなら、そう考えてもいいだろう」



龍亞「ええ!?二重人格!?」



雑賀「あくまでも可能性の話だ。本当かどうかはわからん。もうすぐ消えるって言ってたからな。さっきまでの方の子が出てくる可能性は低い。ただ、わからないことがある」



矢薙「というと?」



雑賀「遊星。お前に、自分を助けてやってくれ、守ってやってくれって頼んでただろ?」



遊星「ああ」



雑賀「何から助けて、何から守ればいい?一番わからないのは、“この時代を生きる、私ではない私。この時代を生きるべき、私ではない私”って言葉の方だ。まるでこの時代の人間じゃないみたいな言い方だ」



遊星「この時代の、人間じゃない・・・」



有り得ないはずの、雑賀の言葉を繰り返し呟いた



とりあえずこの少女は、雑賀が用意してくれた遊星が仮住まいしている場所へと連れ帰った




















Dホイールを調整しながら、遊星はソファに寝かせている少女を時折見る



なぜだか、遊星は彼女を引き取ることに迷いはなかった






『不動遊星。守ってあげてください。この時代を生きる、私ではない私を。この時代を生きるべき、私ではない私を。助けてあげてください。守ってあげてください』






遊星「・・・・・・なぜ、オレだったんだ?」



シグナーは4人目だと、この少女は言った



つまり、遊星以外に3人を見つけているということ



それなのに彼女が頼ったのは、自分だった



リーシャ「・・・・・・ん」



遊星「!」



リーシャ「・・・・・・ここは・・・」



遊星「目が覚めたか?」



リーシャ「・・・?」



少女がこちらを見る



上体を起こし、こちらを見上げてくる



リーシャ「・・・・・・あなた、誰?」



遊星「え?」



夕方、この少女は確かに自分の名前を言っていたはずだ



不動遊星、とーー






『巫女になる前と同じ、普通の女の子になる。普通の女の子である私には、巫女である私の時の記録がないーー要するに、天空の巫女とやらはこの子自身の事で、今さっきまでの記憶はこの子にはない。自覚してないだけの二重人格者、とか。記録っていうのが記憶のことなら、そう考えてもいいだろう』






ふと思い出したのは、雑賀が口にしていた推測



さっきまでの事は、本当に記憶にないのだろうか?



遊星「・・・・・・俺は、不動遊星だ」



リーシャ「ふどう・・・ゆうせい・・・・・・不動遊星!?」



遊星「!?」



リーシャ「本当に?本物の!?」



遊星「あ、ああ・・・」
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