幽☆遊☆白書

□第1章
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ぼたん『大変なんだよ、茉莉ちゃん!』



茉莉「あらぼたん、久し振り」



突然鳴り響いた霊界通信コンパクトだったが、特に驚いた様子もなく懐から取り出した茉莉



通信相手は、霊界案内人のぼたん



正式な霊界探偵が見つかるまでの代理として、霊界からの依頼をこなしていた時に知り合った



ぼたん『闇の三大秘宝が盗まれちゃったんだよ!』



茉莉「知ってるけど」



ぼたん『え!?なんで!?』



茉莉「どうでもいいでしょう。でも霊界探偵は見つかったんじゃなかった?なんで私に連絡を?」



ぼたん『そうなんだけどぉ・・・』



茉莉「?」



話し難そうにしていたぼたんだったが、仕方なしと言った様子で口を開いた



茉莉「・・・・・・へぇ・・・つまり、なに?まだ経験も能力も未熟な霊界探偵くんに、闇の三大秘宝を盗み出した剛鬼、飛影、蔵馬の3人から1週間で宝を取り戻せとコエンマが無理難題を押し付けた。と?殺す気なの、あの詐欺幼児のおしゃぶりマンは。えぇ?」



ぼたん『ま、茉莉ちゃんコワーイ・・・』



絶対に怒っている



というのは明らかだった



細められた桜色の瞳は、呆れと怒りを物語っている



ぼたん『と、とにかくさ!そういうわけなんで、手伝って欲しいんだよ!』



茉莉「ハァ〜・・・」



重く深いため息を吐かれ、ぼたんがこれは無理かと半分諦めた時だった



茉莉「わかった。で、どうすればいいの?私は」



ぼたん『ありがと〜、茉莉ちゃーん!』



茉莉「・・・なんで泣くの?」



そういうわけで、結局は霊界探偵の仕事を手伝う事になってしまった



学校を休んでしまっている蔵馬の様子も少し気になっていたので、好都合なのだが



宣言通り、本当に盗みをやってのけたのかと、実際は少し呆れてもいた



初めて名乗ったあの日−−入学式に再会したあの日から、なぜか蔵馬はやたらと自分に関わって来た



それがとにかく不思議でならなかった



本人は今後のために仲良くしておきたかったのと、好奇心が理由だと言っていたが



おそらく、霊界と関わりのある自分とある程度の関係を持つ事で、探りでも入れようとしていたのだろう



当然の考えだ



茉莉「・・・ま、どうでもいいけど」



ぼたん『茉莉ちゃん?』



茉莉「なんでもない」



一度合流する事にし、2人は目的の場所に向かう事になった



剛鬼に苦戦している新たな霊界探偵・浦飯幽助を助けるために



ぼたんの演技で剛鬼を追い払う事に成功



浦飯幽助を彼の自宅へと連れ帰った



茉莉「全く・・・」



呆れた様子で、ベッドに横になっている幽助を見つめる



コエンマにも、幽助にも、蔵馬にも



呆れていた



翌朝、目を覚ました幽助に母・温子が怒った



せっかく生き返ったのに、無茶をするなと



温子の説明で、自分がぼたんに助けられた事を知る



コエンマが姿を見えるようにしたため、ぼたんは温子に視認されているのだ



幽助「でも、よくオレのいた場所がわかったな?」



ぼたん「このコンパスで、あんた達の場所を探し当てたんだよ」



霊界探偵七つ道具のひとつである、妖気計だ



妖怪が近くにいると、その方向と距離を示す物



幽助「それにしても正直、ビビってるよ。半端じゃねぇぜ。まさかあんな強ぇ奴が相手だったとはな」



ぼたん「他のふたりも、あいつ以上の霊力を持ってるんだ。そんな奴らを1週間以内に捕まえて・・・」



幽助「宝を取り戻すなんて・・・」



ぼたん「やっぱり無理だねぇ」



幽助「オレには、荷が重いぜ」



茉莉「賢い選択だと思う」



幽助「え?」



突然部屋に入って来た茉莉に、幽助はキョトンとした顔をする



盟王学園高校の女子制服を来た茉莉からは、巫女だという印象を全く受けないのだから正体がわからないのは当然だ



幽助「誰だ、あんた?」



ぼたん「咲良茉莉ちゃん!あんたが霊界探偵になる前、霊界の仕事を手伝ってくれてた子なんだよ。これでも巫女の血統なんだから!霊力もかなり高いし、頼りになるよ!」



茉莉「今回はあなたの補佐を頼まれたの。そんな事より、昨日、剛鬼から力の差を見せつけられたでしょ?」



幽助「・・・」



茉莉「辞退するのは賢い選択だと思う。でもあなた、昨日子供の魂が食われたのを見て、放置しなかったでしょう?」



幽助「ああ」



茉莉「・・・・・・吸魂鬼は子供の魂が好物だから、餓鬼玉を持ってる限り食い続けると思う。食われた子供の魂は、奴の腹の中で1日はもつ。どうする?」



幽助「あいつをぶっ倒す!」



ぼたん「あんた、その体で・・・!」



茉莉「あれだけボコボコにされたのに?」



幽助「それでもだ!よくわかんねぇけど、きっと魂を食われる事は、肉体が死ぬよりも辛いだろ?幽霊となって漂う事もできねぇんだし。そりゃ、可哀想だぜ!」



ぼたん「幽助・・・!」



幽助「今日なら霊丸を1発撃てるし。昨日のような負け方はもうしねぇさ」



頷いたぼたんは、霊撃輪具を幽助に渡す



霊丸の威力を何倍にも高められる道具だ



ぼたん「本当は、もっと霊力がついてから渡したかったんだけど。霊丸の威力を激増させる代わりに、使った後は疲労で立っていられなくなるはずよ」



幽助「ああ」



ぼたん「それは最後の切り札」



幽助「わかったぜ!」



茉莉「・・・」
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