glow

□砂時計は脆く
1ページ/4ページ


その日の部活帰り、ハルは一言、
「話がある」とだけ告げた。

なんの、なんて聞かなくてもわかる。
奏さんのこと。
これからの、こと。

ハルと部屋に入ろうとすると、小さな体が飛び付いてきた

「ハルちゃんだー!」
「ハルちゃん遊ぼう!」
「蘭、蓮…」
「ごめんな、2人とも。
兄ちゃん達、今日は大事な話があるから…遊ぶのは、また今度な?」

はしゃぐ弟妹を宥めると、諦めて2人で遊ぶことにしたらしい。
庭へ走る背中を、ハルは懐かしそうに見ていた

「…俺達も、あんな風に遊んでたね」

奏さんと3人で。

「うちの両親もね、カナちゃんとハルちゃんはうちの子みたいね、って「真琴」
……うん」

ああ、俺、凄く嫌な奴だ
無意識に奏さんを自分の近くに寄せてしまおうとする。
そうやって、ハルから奏さんを遠ざけようとしている。

「……真琴、もう、限界なんじゃないか」

ハルのその言葉に、はっとした
息を呑んだ。…泣いてしまいそうに、なった

「は、る」
「もう、…子供じゃないんだ」

欲望を覚えてしまった。
恋愛を知ってしまった。

見て見ぬふりで終われるわけがなく
それはもう、避けては通れなくなって

ゆっくりと、足を捕られて、沈んでいく
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ