glow

□青い春に隠れる
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朝は現役高校生の弟より少し早く出て、海沿いをロードバイクで走る。
潮の香り、波の音、朝陽に煌めく水面。
変わらないものがあるというのは、不思議と人の心を落ち着かせる。

学校に着くと、天方先生が「おはようございます」と挨拶してくれた

「おはようございます。…何か、あったんですか?」

ここの先生方は割と温厚な、柔らかな雰囲気を持った方が多い。
職員会議が始まる前は、いつもならお茶やコーヒーを片手に今日の天気の話だとか、家族の話だとかを和やかに談話している、のだが。

先程から校長先生や教頭先生、生徒指導に関わる先生達が何やら険しい顔つきで話し合っている。

「それが、私も今来たところで…」

しまった、天方先生の不安を煽ってしまっただろうか。

「なんだか緊張しちゃいますね。
そういえば、今日は少し暑くなるそうなので、天方先生も水分補給は欠かさずに!」
「ふふ、ありがとうございます」
「あと、近々また鮫柄学園と合同練習をしようかな、と。
暑さに茹だらないよう大会に向けてモチベーション上げてもらいたいですし」
「じゃあ練習メニューも調整した方がいいでしょうか?」
「そうですね、今日松岡さんとも相談しましょう。
もしかしたら笹部コーチも来れるかも…、天方先生?」

ふと天方先生の顔が赤くなる。…もう暑くなってきただろうか?

「えっ?!あっ、はい?!」
「顔が赤「あっ、会議始まりますよ七瀬先生!練習メニューの話はまた後で〜!」
「…はい」

呆然としていると、教頭先生に席に座るよう指示された。天方先生、風邪じゃなきゃいいんだけどなあ。

―――……

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