BOOK@

□頂上戦争A
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赤犬の攻撃が始まって逃げ場を無くした白ひげ海賊団と傘下の海賊たち。
辛うじて残った足場に逃げようものなら容赦なく砲弾の雨が降り注ぐ。
海兵たちが集まる広場からはその様子は見えない代わりに聞こえてくる悲鳴。

「正義何て名ばかりの虐殺だな」

「これも作戦の一つですからね」

「気に入らない…………」

包囲壁の上からその光景を眺めていたアズリアは処刑台したに集まっている隊長たちの元に下がった。

「何だ無傷かよ!」

「船長無事ですか?」

「まぁ、肋骨二本くらい折れたかな?それよりも、ちょっと話しがあるんだけど?」

センゴクはもちろん、周りの海兵にも聞こえないようコッソリと耳打ちする。
その様子を注意深く見ていた赤犬。
所詮は海賊、いつ裏切るか分からないと白ひげの次に警戒し始めた。

「海流一本背負い!!」

空に海水が浮かび上がり、それは処刑台前三大将が構える眼前に落ちてきた。
海兵が大勢居るそのド真ん中に落ちてきたのは意外な人物。

「エースは、返してもらうぞー!!」

エースを助ける為に単身乗り込んで来たのは麦わらのルフィ。
処刑時間が早まり一刻の猶予もなくなった事により考え出した苦肉の策だった。

その必死な思いを見た白ひげも最後の作戦を発動した。

たかがルーキー一人、三大将にかなうわけもなかった。それでも自分の大事な家族を助けまいと奮闘する。

「これも【D】の名を持つ宿命なのかな…………」

どんなになっても諦めない、その姿勢は揺らぐアズリアの気持ちに何かを決心させた。

センゴクの掛け声で処刑が執行される。
だがそう簡単に上手くもいかなかった。寸でのところで元七武海クロコダイルが止めに入った。
白ひげと仲違いしていたクロコダイル、あわよくばとセンゴクはあえて見逃していたがそれが仇となった。

それに加え死んだと思われていたオーズが起き上がり、白ひげが乗った船を広場に揚げた。

「で、さっきの話しの続き何だけどさ…………」

「何ですか?」

「これよりミスティック海賊団は、海軍を裏切り、白ひげに加勢する」

「はぁ!?」

「馬鹿かあんたは!?」

「船長命令だ」

「俺たちに何の得があるんだよ!!!」

「無いよそんなもの、だけどさ、やっぱり『海賊』だからね、あたしたち………」

それを聞いた全員が納得した。
例え政府の監視下にあったとしても、自分たちは腐っても海賊。

「やるんなら本気でやっていいんだな?」

「あぁ、遠慮はいらない」

「やっぱあんたが船長で良かったぜ!!」

「今更かスミノフ?」

白ひげが広場に上陸し進撃を始めた。
戦いは佳境に入り、もはや海軍に勝ち目は無いかに見えた。

しかし白ひげとて人間、先に受けた傷によりダメージが思った以上のものだった。
そこに非情なる赤犬からの一撃が胸を貫く。

「終わりじゃー!!白ひげー!

トドメを刺そうとマグマ化した拳を白ひげにぶつける。
これでこの戦いも終わる、海軍の勝利で終わる。

「ぬうっ!貴様は・・・・」

「どうゆうつもりだ!アズリア!!」

赤犬の攻撃を易々と受け止め、白ひげの危機を救った。
赤犬はどれだけ力を籠めてもビクともしないアズリアに若干の恐怖が生まれた。

「悪いねセンゴク…………あたしらは海賊なんだよ?」

「自分がどうなるか分かっているのか?」

「分かっているよ、少なくとも正義を振りかざして虐殺行為を行う海軍なんかよりは、信念を通して戦うコイツらの方がずっとマシさ」

「海賊風情がぁーー!!」

赤犬は空いた手で攻撃を仕掛けアズリアの体を殴り飛ばした。
激しい土煙があがり、海兵たちをも巻き込みながら止まる。
怒りに満ちた目で土煙の先を見つめる赤犬、彼女がこんな攻撃では死なない事はわかっている。

吹き飛んだ先ではアズリアが大の字になったきり起き上がろうとしない。
海兵たちに囲まれていたが、そんな事は気にしてはいなかった。

「船長いつまで寝てんだ?俺らが全部ヤっちまうぞ!」

「ムフフフ、ムフフ、船長、俺、海兵の、コレクション欲しい、ムフフフ」

寝そべるアズリアの周りに集まってきた隊長たち。
ついに動きを見せたミスティック海賊団。
センゴクにとって今危惧すべきは白ひげではなく、アズリアそのものだった。
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