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□頂上戦争A
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私闘を繰り広げていた黄猿とマシュー。
やはり力は互角。
戦いの最中も赤犬とアズリアの方が気になりそちらばかりに目がいく。

「どこを見ているんですか?」

「ふぅ〜………一旦止めないかぁい?」

「気になりますか?」

「どうも嫌な予感がするんだよねぇ〜…………」

一見するとアズリアが押しているかのように見えているが、赤犬の動きが不自然過ぎるのが引っ掛かっていた。

見守ることしかできない黄猿、処刑台に近づく白ひげを見て仕方なく止めに入る。
麦わらを援護するようにとの白ひげからの命令を受けた海賊たちが一つの弾丸のようになり、海兵たちの包囲網を突破していく。

それでもセンゴクは処刑の機会をうかがい執行人が到着するとすぐさま刑が執行された。
アズリアも赤犬に気を取られてしまい、そこまで状況が進んでいたのかと内心慌てた。
それを好機と見た赤犬はすかさずアズリアの腹にマグマ化した拳をぶつけた。

白ひげも、隊長たちも、傘下の海賊たちも、誰もが今度ばかりは間に合わない、必死になって海兵を倒し前に進むが届かない。


「やーめーろーー!!」


麦わらの秘めたる力が目覚めた瞬間だった。
兄を救いたい一心で無意識に発動した覇王色の覇気。
やはりと言うべきか、あのドラゴンの息子だから持っていてもおかしくない。
それにより道は一気に開かれた。

危機感を覚えた海兵たちは白ひげではなく麦わらに狙いを変え更なる大群で迎えて撃つ。
それでも進撃は続き、処刑台までの道も作られエース解放まではもうすぐだった。
そんな事態の中、もう一方でも衝撃的な事が起きていた。

「これで終わりじゃ・・・」

白ひげ同様腹を貫かれたアズリア、マシューは一番起きてはいけない事が起きてしまった事に動揺していた。
黄猿もまた麦わらに気を取られアズリアから目を離した一瞬の出来事に悔やんでいた。
同時に赤犬への憎しみが心を支配し歩みは自然と赤犬に向かっていた。
 
「ちょっと待った!何考えてんだあんた!?今行ったら・・・」

「離せよクザン・・・・」

揉み合う2人、センゴクもそれに気付き赤犬とアズリアの方に目をやる。
背中に嫌な汗が流れる。
危ないのはアズリアではなく寧ろ赤犬の方だ。

「離れろ赤犬!!」

ここで大将という大事な戦力を失いたくないセンゴクは今までに無いくらいの大声で警告する。
その声に自然と危険を察知した赤犬は手を離そうと力を緩めたが、虫の息だった彼女にガッシリと掴まれた離れる事はおろか振り払えなかった。

「捕まえた…………」

「ぐぅ、離せ!!」

「オオワシ!スミノフ!急いで船長を止めるんだ!」

海兵に囲まれ身動きが取れないマシューはすぐさま近くに居た隊長2人に指示を出した。
2人だけでも抑えられるか分からないが、このままではあの赤犬が殺されてしまう。

いくら政府側を裏切ったからとはいえ、ここで大将を殺したあればいよいよ自分たちも戦争をしなければいけなくなる。
それだけは絶対に避けなければならない。

「心配するな…………」

彼女から発せられた言葉、それは近づくなの警告だと分かったマシュー。
猶予は一刻もないと分かると群がる海兵を足場に空から進む。
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