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□頂上戦争A
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掴まれた手に激痛が走ると何が起きたか分からないうちに赤犬は地面に倒れていた。
「……………」
自分を見下ろすその顔は怒りに満ちた表情でも、苦痛に満ちた表情でもなく至って普通の表情だった。
慌てて駆けつけた3人はその表情を見るなり安心したのか、アズリアのボロボロな姿を見るなり笑い出した。
「バッハハハハ!情けねぇーな船長、腹のド真ん中に風穴開けられやんの!」
「全くだな、どうするんだ?」
「それよりも一番は服ですよ、どうするんですか?」
一般的に考えて第一に心配すべきは船長の体ではないのか?
その場に居た全員がツッコミたくなる状況。
その船長も船長で傷ではなくやはり服が気になるらしく羽織っていたコートの穴を何度も確かめ深くため息をつく。
「それより早く傷を治して下さい、さすがに周りには刺激が強すぎですよ?」
「そうだぜ船長、変わりはいくらでも居るんだ選び放題じゃねーか!」
「そうだね…………」
顔を上げ適当に目が合った海兵一人に近付き左手で自分の腹を、右手で海兵の腹を触る。
「リバース…………」
彼女の傷は一瞬でなくなったが変わりに海兵が突然血を吐き倒れた。
更に隣にいたもう一人の海兵に躊躇なく唇を重ねると軽く息を吸った。
「……………御馳走様」
何かしたわけではない、ただ口づけしただけなのに海兵はミイラのように干からび息絶えた。
「なっ、何をしたんだ……………」
恐怖のあまり腰を抜かし動けなくなる海兵たち。
傷が無くなったのを確認するとコートをマシューに預ける。
「さぁ行くぞ野郎ども!!」
「あぁ!!」
「ひと暴れするか!!」
状況が飲み込めず固まってしまった黄猿。
ポンポンと青雉に肩を叩かれて正気に戻る。
「まぁ何だ……………良かったじゃないの?」
戦いに戻る青雉、動揺を隠すため一度深呼吸する。
赤犬から受けた傷が一瞬でなくなり、更に小さな傷も綺麗さっぱり消えた。
あれが彼女が言っていた【ドレドレの実】の能力。
常人を遥かに超えるそれは、黄猿にとって理解しがたい。
「処刑台に橋がかかった!」
そうこうしている間に麦わら率いる一団に動きがあった。
革命家イナズマの能力により処刑台への道が作られた。
最早一刻の猶予もなくなった海軍、黄猿も何とか阻止すべく向かおうとしたが白ひげが邪魔をする。
「グララララ、行かせねーよ」
「白ひげぇ〜…………」
「オイ小僧、オメェあいつとどういった関係かは知らねぇがあいつとだけは関わるな」
「あんたには関係ないでしょ〜?」
所詮はジジイの戯れ言と聞き流し戦いに集中する。
処刑台への橋を懸命に登っていくルフィ。
今希望は全て彼に託されている。
誰もが行ける、もう少しだ、エースが帰ってくる!
ドガーン!!
「ここから先には行かせんぞ、ルフィ!!!」
「じぃちゃん!?そこ退いてくれー!!」
「あの老いぼれ!!」
「逃がすかぁーー!!」
ガープからしてみたら辛い選択だろう、実の孫と戦わなければいけない葛藤とエースを助け出して欲しいという願いに挟まれながらのこの戦場。
助けには行きたい所だが、赤犬率いる海軍中将たちの壁は厚く手間取ってしまう。
「マシュー、スミノフ、ここは頼む!オオワシ、空からアプローチかけてみて!」
「分かったぜ、暴れまわってやるさ!」
雄叫びをあげると身体が虎の姿になる。彼は動物系悪魔の実の能力者でネコネコの実モデル【虎】。
戦陣切って中将たちの群れに突っ込んでいく。
マシューは当然赤犬の相手になる。
アズリアのコートを大事そうに抱えながら戦う。
「砲弾に気をつけろよ!」
「そこはあんたが守ってくれるんだろ?」
腕を広げると翼に変わり、オオワシへと変わる。
世界でも数人しか確認されていない飛行型の能力者。
背中に乗り飛び立つが砲弾が雨にのように降り注ぎ思うように前に進めない。
「ダメだな、処刑台近くに降りるぞ!」
「あぁ分かった!」
仕方なく降りる2人、ガープが与えた衝撃で橋は今にも崩れそうになっている。
橋に向かう海軍の後ろに来たためそれが逆に奇襲攻撃となり、いくらか海軍の目がこちらに向いた。
「裏切り者だ!討ち取れぇー!」
「それが海賊ってものだろう!!」
「オオワシらしいな!っと、大波小波、大波・茨返し!」
地面が津波のごとく高くうねり、海兵たちを巻き込んでいく。
橋付近の敵は片付いたが群がる海兵はキリがなかった。
「アレ使ったらマズいかな?」
「アレってまさか…………」
オオワシは慌てて逃げようとする。
アレとは何か?
彼が逃げるくらいだから、相当にヤバいものらしい。
「船長!!ここに居る全員殺す気か!?」
「いや〜どうせなら処刑台ごと…………」
「馬鹿かあんたは!?」
思い切り頭を叩かれる。
口を尖らせながらつまらなそうに海兵を相手にする。
「「ガープ中将ーー!!!」」
橋から落下するガープ。
敵とはいえ実の孫を殴れるハズもない。
伝説の海兵と言われてもやはり孫思いのお祖父ちゃんだった。
「ガープ・・・・」
崩れる橋を何とか登り切ったルフィ、海楼石の手錠の鍵を取り出し外そうとしたが黄猿が邪魔をする。
更にセンゴク自らが動きルフィ、エースを直接仕留めようと能力を発動する。
「処刑台から離れろー!!」
軋む処刑台、センゴクの攻撃を防ごうとルフィが巨大化する。
衝撃に耐えられなかった処刑台は崩れ、エース、ルフィ、それにもう1人が投げ出される。