BOOK@

□頂上戦争A
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これを好機と見た白ひげ海賊団の隊長たちはすぐさまエース、ルフィを率いて船まで逃げる。

「逃がさないよぉ〜?」

「お前らが逃げる海なんざぁ何処にもねぇよ」

青雉、黄猿が赤犬に変わり追撃する。
海は凍り、空からはレーザーが降り注ぐ。
大将2人に阻まれたエース、ルフィたち一団はいつの間にか囲まれてしまう。

「クソ、このままじゃやられちまう……………ん?」

「おいどうした?」

1人の海賊が何かの異変に気付く。
辺りを見渡すがそれは目に見えるモノではなく、今自分が立っている地面の下からその気配は感じられた。
地面の下に何かいる。
それは確実にここに向かって来ている。

「いい加減諦めんかいバカタレが…………」

地面からボコボコとマグマが吹き出し逃げるエース、ルフィたちの後方から追いかける。

「生きてたか………」

「逃がしゃせん、その2人を置いていけ!!!」

壁の上から戦況を見ていたアズリアは、自分も老いたなと悔しさを噛み締めていた。
直ぐに隊長の1人、一哲に向かうよう指示を出す。

後ろから迫り来る赤犬、とっくに身体の限界を迎えていたルフィはジンベエに抱えられながら逃げる。
気絶していたエースも仲間に抱えられながら逃げるが、赤犬の追撃がそれを阻む。
イワンコフやイナズマ、他の海賊たちが時間稼ぎをするが全く歯が立たない。
それに加え黄猿、青雉が前方に立ちはだかり挟まれる。

「ここは…………俺が時間を稼ぐ!!」

「エース!?」

目を覚ましたエースが後方から迫る赤犬を止めるために仲間の手を振り払い構える。
赤犬もまた標的の1人が自ら殺されに来たと分かると口端が自然と上がる。

「さっきは邪魔されたが今度は逃がさんけぇ、覚悟せい。」

「俺もだ、テメェだけは許さねぇ・・・」

激突する2人。
凄まじい気迫が辺りに吹き渡る。
かなりの深手をおっていた赤犬、滴り落ちる血がそれを物語る。
エースも今まで海楼石に繋がれていたために全力ではなかった。
マグマと炎、能力の上下関係のせいかジワジワとマグマに飲まれていく炎はエースさえも飲み込む。

「ぐわっ!」

「お前はただの火、わしは火をも焼き尽くすマグマじゃ。」


その場に倒れ身動きが取れないエース、息をするのがやっとの状態で赤犬から逃げられるわけもなく、ただ自らの死を受け入れるしかない。
ジンベエの手を払いエースを助けようと駆け寄るルフィ。
どちらも限界がきている身体、2人に赤犬の拳が迫る。

「「エースーー!!」」

銃弾を撃ち込もうが、剣で切りかかろうが赤犬の身体には一切効かない。
マルコやビスタが止めに走るがとても間に合わない。

「何のつもりだジンベエ?」

「ぐぅ…………エースさんにルフィ君は死なせはせん!!!………例えこの命が尽きようとも、この2人には手出しはさせん!」

2人を庇い重傷を負ったジンベエ。
確実に息の根を止めようともう一度拳を振り下ろす。

「ちょいと失礼しますよ………」

青い着流しに身を包んだ男が突然現れた。
赤犬の目の前をゆっくりと通り過ぎたかと思えばただ何もせず振り返る。
腰に差した刀は抜かれた様子は無かったが納める音が小さく聞こえた。
途端に赤犬のマグマ化した腕が切り落とされ、地面にも大きな切れ目が入る。

「一閃・煌」

「次から次へと邪魔ばかりしよって!!流星火山!」

撃ち出される火山弾は敵味方関係なく降り注ぐ。
慌てた様子もなく降り注ぐそれをジッと見つめていた男。

「一閃・輝」

またしても抜き身を見せずに刀を静かに納める。
チン、と納まった音が聞こえると火山弾が全て粉々になる。

「一哲頼んだよ」

「承知しました………」











「上手く逃げられるといいが…………」

アズリアはタバコを吸いながら、この泥沼化した戦況を眺めていた。
もはやこの戦場に正義など存在しない。
敗残兵を追いかけ、無抵抗なままの人間を殺す様子は海賊と何ら変わりない。
大将自らが周りも見えず、己の信念に基づいて動いている為足並みなど揃うはずもなく、どう動いたらいいか分からない海兵たちの姿が目に付いた。

「大分崩れたな…………」

「原因はあんただろう!!」

「そう怒るなよグラフ」

マシュー、白ひげはと言うと、既に自分の死を悟ってかセンゴク、ガープ率いる海兵たちと死闘を繰り広げていた。
アズリアはタバコを投げ捨てるとグラフに一哲の援護に行くよう指示を出し、自分は白ひげの元に急ぐ。

「ゼハハハハハ・・・・・」

誰かの笑い声。
それを聞いた者は何人居ただろか。
この戦場において、そんな余裕がある人間など存在はしていない。
しかし、確実にその声の主は近づいて来ている。

急に暗くなる戦場、たがそれに気付く者だ誰も居ない。
処刑に上がりこの戦場を愉しげに見つめる複数の影。

「おい、何だあれ・・・・・」

「あっヤベ、見つかっつった。」

その巨大すぎる影はニタニタと笑いながらしゃべる。
更に処刑台の上には数人いるのが分かった。

「ようやく気がつきやがったかよ!ゼハハハハハ!!」

現れたのは七武海にして、元白ひげ海賊団、現在は黒ひげとなのりこの戦争を引き起こした元凶ーーーーー

「久しいな!!死に目に会えそうでよかったぜオヤジィ!!!」

「ティーチ・・・・」

黒ひげ海賊団船長、マーシャル・D・ティーチ。
その周りにはインペルダウン、レベル6からの脱獄した囚人たちも顔を揃えていた。
奴らが何の目的でこの場に現れたのかーーーーー
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