BOOK@
□新時代編E
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「そんな事自分でやればいいでしょう?」
「それが出来んから貴様に頼んどるんじゃ!!」
「だーかーらー、嫌だって言ってるでしょ!!」
こんな感じの言い争いが始まって30分は経過した。
海軍大将に選ばれるくらいだから、実力はあるだろうが、サカズキとしてはそれを計るのに海軍内の人間では無く、外の人間でそれを計ろうと考えたのだ。
「おいでアズリア」
「なに?」
「頑張ったご褒美に明日はデートしようかぁ?」
「仕方ないなぁー……………」
あっさりと承諾した。
2人のラブラブっぷりを見たくなかったサカズキは、さっさと部屋から出た。
隣に座っていた大将も立ち上がり、あとを追って部屋を出た。
「そういえば、名前聞いてなかった」
「彼の名前はイッショウ。二つ名は【藤虎】。聞いた話じゃ、折り紙付きの化物らしいよぉ〜」
「目、見えてないんだね」
「そうみたいだねぇ〜」
2人で本部の外に出るて、裏手にある訓練所に向かう。
そこにはすでに興味津々な海兵たちで人だかりが出来ており、アズリアは深いため息をつく。
「やっぱり止める」
「そう言わないで、わっしからも頼むよ」
「もぅー…………」
渋々前に出たアズリアは、嫌々ながら一応構えた。
「目が見えないのに大丈夫?」
「……………」
「喋れないって訳じゃないんでしょ?」
「…………………」
「何なのもうー…………」
目は見えない、無口、耳だって聞こえているか分からない相手に戦うのはさすがに気が引ける。
しかし、先に仕掛けてきたのは向こうの方だった。
「目が見えねーからって、手加減されちゃ困りやすね?」
杖代わりに使っていた棒は仕込み刀で、その抜き身を見せない速さに避けきれず腕を硬化させ受け止めた。
(何だ、体が重い……………)
刀を受け止めた瞬間から体に違和感を覚えた。
体全体に錘でも着けられたらように、ズッシリと重くなり徐々に足下から地面に沈んでいくのが分かった。
「っ!!ヤバいな…………」
刀を弾き返し、一旦距離を置いたが体に掛かる重みは消えなかった。
しかし、先ほどよりは幾分か軽くなった気がしていた。
「能力者なのは分かったが、一体何の能力だ………………」
さらに距離を置いて、遠距離からの攻撃を仕掛ける。
「これじゃ意味ないか………………だったらこれはどうかな?」
地面に手を置くと、体を同化させていき潜っていく。
「姿を消せても気配で分かりやすって」
刀をゆっくり抜くと、アズリアが潜った地面ごと宙にゆっくりと浮いていく。
「ウソでしょう!?」
刀を収めると同時に塊が勢い良く地面に叩きつけられて、粉々に砕け散った。
砕け散ったいくつかの破片が集まり、元の体に戻った。