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□シャボンディー編C
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広場に連れて行かれた2人。海兵たちにバレないようこそこそ話しをする。
「どうするつもりですか?」
「とりあえずは従っておこう、ここで争っては確実にバレる」
海兵に無理やり黄猿の前へと突き出され、なるべく顔を見せないよう下をうつむいたままその場を凌ごうとした。
「大将黄猿、先程そこの物陰から覗いていた怪しい人物二名を捕縛しました!!!」
「ん〜?覗いてたぁ〜?度胸あるねぇ〜?何者だぁ〜い?」
黄猿は身を屈め顔を覗きこもうとしたが見られまいと顔を背ける。
とっさにレイリーと目が合ってしまったが、何も喋るなよ!!と言わんばかりの眼力で睨む。
レイリーもまたそれに気がつきククっと笑う。
「ふぅん、どうしたもんかねぇ〜?」
無理やり顎を掴まれ、顔を上げられる。
顔を見られたアズリアは、目線だけ逸らす。
目を細め、首を捻りながらう〜んと唸り、何かを考えていた。
「まさかねぇ〜…………?」
アズリアは黄猿の手を払いのけ、タバコを一本取り出すと火をつける。
マシューは眼鏡を軽く上げると、手袋を取り出してはめる。
「貴様ら一体何のつもりだ!!無駄な抵抗は…………」
紫煙を吐き出しながら海兵たちに睨みをきかせる。
辺りに一瞬だけ気配を感じると、白目を剥いてバタバタと倒れ出す海兵たち。
「あれは!!覇王色の覇気!?」
かろうじて意識を留めていた将校クラスの海兵が驚いた様子で言う。
離れた場所に居た戦闘丸でさえ、冷や汗をかき、生唾を飲む。
「おぉ〜おっかないねぇ〜…………」
「相変わらずだな君は…………」
「船長、責任取って下さいよ?」
「どうせバレるなら、派手にやった方が良いじゃない?」
睨み合う黄猿とアズリア。
ピリピリと肌を伝わる殺気。
戦闘丸も、加勢に入ろうと近付いたがマシューが行く手を阻む。
「テメェーら何者だ!!海軍大将相手に喧嘩を売るとはいい度胸じゃねーか!!」
「我々を知らないとは…………」
「賞金首にテメェーらみたいなのが居るわけねーだろ!!」
「それがねぇ〜居るんだよぉ、戦闘丸くぅん…………」
黄猿が眉間にシワを寄せながら、明らかに嫌そうな顔でため息をつく。
「彼女はねぇ、ミスティック海賊団船長【漆黒の処刑人】ウォーロック・D・アズリア。ここまで聞けば分かるよねぇ〜?」
今や白ひげ、ロジャーが有名になってはいたが、かつてその2人に肩を並べてこの大海賊時代を作り上げた1人。
だが、その素性などは一切表には出ることは無かったが、世界政府はもちろん海軍上層部もロジャー、白ひげに続く危険因子と見ていた。
ロジャーが処刑されてからは一切彼女達の情報などは入らず死亡説が流れていた。
「それでぇ〜?そんな大物が一体何のようだぁい?」
「先に捕まえたのはそっちでしょ?私たちはただ好奇心で見ていただけだもの」
「本当にそれだけかぁい?」
「疑い深いことで…………」
タバコを吸い終えると、もう一本タバコを取り出し火をつける。
このまま何も無く終わるーーーーーー訳もなかった。
「それで、このまま逃がしてくれるの?」
「そうしたいけどもねぇ〜、部下がやられた手前そうもいかんでしょう〜?」
「でしょうね…………」
アズリアは長い髪を纏めると、タバコを地面に捨て構える。
覇気を使う以上、迂闊に近付けば命取りになる。
指先を向けるとアズリアに向かってレーザーが放たれた。
左に体を傾けて避けると、地面を蹴って一気に黄猿に近付く。
「天叢雲剣!!」
「はぁっ!!」
右腕を硬化させ刃を受け止める。
弾き返すとがら空きとなった腹部に目掛けて鋭い蹴りを入れた。
しかし、黄猿の体は光の粒となり消える。
上空を見ると、黄猿が右足からレーザーを放っていた。
「………!!」
激しい閃光とともに着弾点が爆発。
土煙が晴れていくと巻き込まれたアズリアの姿は無かった。
「これくらいじゃ〜死なないよねぇ〜?」
地面に降りた黄猿はふぅん、と、鼻を鳴らしながら余裕の表情をみせていた。
「当たり前じゃない」
辺りに立ち込め始めた霧。
その中からアズリアの声が聞こえた。