BOOK@
□マリージョア編@
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シャボンディー諸島を離れてから3日、あてのない航海をしていたアズリアは自室にて書類整理をしていた。
彼女が率いる【ミスティック海賊団】、船長アズリアを始めとした本船に加え各地に散らばった隊長達を合わせると5000人はくだらない大海賊団だった。
「失礼します。船長紅茶とクッキーをお持ちしました」
「あぁすまないな………」
眼鏡を外し、軽く背伸びをしてからソファーに座る。
中央のテーブルに用意された紅茶を一口飲むと、甘い匂いがするクッキーに手をつけた。
「今日はストロベリーナッツのクッキーとピンキーミルクの紅茶です」
「う〜ん甘さが染み渡る〜」
副船長でありながら料理もこなすマシューはアズリアにとっては欠かせない存在だった。
しばらく紅茶を楽しみながらクッキーを食べていると、窓ガラスを叩く音が聞こえてきた。
「あれは、政府の伝書バット?」
「何でしょうかね?」
マシューが書状を受け取るとバットは飛び去り、窓を閉めてアズリアに書状を手渡した。
開封して中の紙を取り出し書かれている内容を確認とすると明らかに嫌そうな顔をしてマシューに渡す。
「・・・・・・・・・・これはまた、先日の件ですかね?」
「まぁやっちゃったものは仕方ないよ」
世界政府総帥からの直々の書状。
それが何を意味するのか、そしてどんな関係があるのか。
「進路は聖地マリージョアだ」
「直ぐに向かいます」
マシューは進路変更を伝える為部屋を出る。
部屋に一人になったアズリアは冷めた紅茶を飲みタバコを吹かす。
どうにか上手く海流に乗ることが出来たアズリアは2日足らずでマリージョアに到着した。
「相変わらず殺風景ー」
「私は好きですよ?」
「へぇ〜…………」
こんな所の何処が良いんだか・・・と、マシューの趣味を疑う。
船着き場からゆっくりと入口に行くと案内の者が出迎えてくれた。
「ウォーロック・D・アズリア様ですね?総帥がお待ちですこちらにどうぞ」
そう言われついて行くと赤い絨毯が敷かれた長い廊下をしばらく歩く。
「ここって禁煙だっけ?」
「我慢して下さい」
ヘビースモーカーの彼女には一番つらい事だ。
一刻も早くタバコを吸いたい彼女は早めに話しを終わらせようと心に誓った。
「着きました」
「あぁ、ありがとうー」
コンコンーーーー
「誰だ?」
「私です、入りますよ」
ドアを開け中に入ると、総帥ともう1人。
思わず自分の目を疑ったが、現実何だと思い知る。
「おやぁ〜?」
「はぁー………」
「来てそうそうため息か?」
「悪い?」
明らかに不機嫌なるアズリア。
入り口に突っ立たまま動こうとはしなかった。
「そんな所に居ないでこっちに来たらいいよぉ〜?」
ソファーに座る黄猿は自分の横に来るよう促す。
この男は一体何を考えているんだ?
益々考えが分からなくなる。
座らないと逆に怪しまれると思い、マシューに部屋の外で待機するよう指示を出し、仕方なく黄猿の隣に大人しく座る。
「えらく機嫌が悪いな?」
「まぁね………」
この状況ではどうしようもない。
何しに来たんだ?
どうしてここに居る?
何を話したんだ?
そればっかりが気になり話しなど入らない。
バレない内に用件を済ませてさっさと帰ろうと話しを切り出した。
「それで話しって何?」
「ん?あぁあれか、実はな・・・・・・・・」
「………」
「大体検討はつくだろう?」
やはり先日の件かと腹をくくる。
今更何を言われても起きた事は仕方ない。
どういう処分が下されるかは分からないがとりあえず話しを聞く。
「老人たちには言ってないが………少しは控えろ」
「悪かった………」
「久々に休暇を与えたのに、お前は何をしているんだ?」
「だから悪かったって…………」
重苦しい空気が流れる。
誰一人口を開こうとはせず、ただただ沈黙だけが静かに流れた。