BOOK@

□マリージョア編A
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イライラが治まらないアズリアはタバコを加えながら出口に向かっていた。
こうなる事は最初から分かってはいた。
だがこうもあからさまに言われると、かえって頭にくる。

「……………」

少し離れた所を歩くマシューは黙ったまま後を着いていく。

もう直ぐ出口というところで彼女の遥か後方で声が聞こえてきた。
アズリアは急に寒気を覚え、あえて振り返らずそのまま声の主が来るまで待っていた。

「おぉ、久しいの下市民の女海賊よ」

「っ!!…………これはエドワード聖、お久しぶりですね・・・・・」

その顔を見た途端、一気に怒りは鎮まり変わりに恐怖が身体を支配する。

この天竜人、エドワード聖は彼女に初めて会った日からずっと求婚し続け、彼女に会う度にこうやって話しかけては手を握ったり、身体を触ったりと過度のスキンシップを図ってくる。

「お主の手は柔らかく吸い付くの〜」

「そそそそっ、それはどうも・・・」


(イヤァ〜気持ち悪い〜)


ゾクゾクと鳥肌が立ちっ放し。
挙げ句には手から腕へ、更には首筋へと手は伸びてきた。
汗ばんだ手が気持ち悪さに拍車を掛けていた。

「ひっ!」

突然グッとお尻を捕まれ撫で回し始める。
公の場でのセクハラ行為、一般人ならば即逮捕だろうが天竜人は何をしても許される。

故に誰が見ていようと、何されようと一切口出しも出来ないし手も出せない。

「ムフフフ、相も変わらず良い尻してるの〜?早く妻に召しとって楽しみたいモノだ」


(もう勘弁してぇ〜)


半分涙を流しながら、マシューに助けを求めたがどうにもならない。
こうなったら全世界を敵に回す覚悟でエドワード聖を殴り倒してやろうと構えた時、ふと目に入った黄色いスーツを着た人物。


(あれは!!)

この状況を抜け出す為なら、この際黄猿だろうと誰だろうと良かった。
わざとらしく大きく手を振って黄猿がこちらに来るよう仕向けた。

黄猿も目を凝らして見ると、天竜人に捕まっている彼女の姿が見えた。
何で手を振っているのかと、首を傾げると彼女のお尻辺りに食い込む手が見えた。

「あぁ、ようやく来た!」


手を振りほどいて急ぎ黄猿の元に行く。
黄猿は首を捻りながらアズリアが涙を流し見上げて、何があったのか、何をされたのかを察する。
近付き天竜人に怯えきっていたアズリアを黄猿はとっさに自分の後ろに隠した。

(何があったんだぁ〜い?)


(訳は後で………………お願い助けて!!)

黄猿は何故だか分からないが怒りがこみ上げてきた。
敵である彼女が涙を流し、自分に助けを求めていた。
嫉妬に近い感情が溢れ、目の前に来た天竜人を眉をひそめながら見下す。

「貴様海軍だな?政府の犬が我々天竜人の邪魔をしてどうなるか分かっているのか?」

「邪魔してるつもり無いんですがねぇ〜、泣いている女性を助けない訳にもいかんでしょ〜?」

するといきなり銃を取り出し何の躊躇いも無く黄猿を撃った。
だが弾は貫通し、アズリアの横を抜けて壁に当たった。

「ふん!能力者がいい気になるな!」

「いきなり撃つのは反則でしょうにぃ〜」

睨み合いが続く中ようやく落ち着いたアズリアは黄猿の陰からコッソリと顔を出す。
途端に厳しかったエドワード聖の顔もほころび、再びイヤらしい目つきでアズリアを見つめる。
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