BOOK①
□頂上戦争①
1ﾍﾟｰｼﾞ/6ﾍﾟｰｼﾞ
その日、朝から海軍本部は厳戒態勢だった。
白ひげ海賊団の隊長、ポートガス・D・エースの公開処刑。
数の利を生かして各地から名のある海兵たちをここマリンフォードに集めるだけ集めた。
「船長起きて下さい、集合時間は過ぎましたよ？」
「はぁ!?」
「先程センゴクさんから、全員連れて来るよう言われてましたが……………」
首の骨を鳴らしながら起き上がり、寝癖がついた髪の毛をキチッと纏め上げ後ろで結ぶ。
昨日着たスーツをもう一度着ると、黒のコートを羽織りマシューと共に甲板に向かう。
甲板には既に準備が整った隊長たちが揃っていた。
センゴクやガープが見たら何と言うかと一瞬考えた。
「オオワシ頼む」
一歩前に出ると、昨夜のように体が変化しその名前の通り大鷲になった。
全員背中に乗ると海軍本部に向けて飛び立つ。
時刻は11時を過ぎた。
処刑まで約4時間。
海兵たちは既に広場に集まり配置に着いていた。
空からそれを眺めていたアズリアたちは降りる場所がないか探し、センゴクの部屋のベランダに仕方なく降りる。
「貴様遅刻だぞ！それに何でそこから入ってくる!!」
「だって、下に降りようにも海兵がいっぱいだしさ…………」
頭を押さえながらため息をつく。
慌ただしい中に問題を起こすな！と、心の中で叫ぶが口には出さない。
ガープもまた同じだった。
元帥室にベランダから入ってくるのはお前くらいだ。と、心の中で呟く。
「おーおー、見知った顔が勢揃いじゃな！」
「けっ！ガープかよ、あんまし見たかぁねえー顔だ！どうせならピチピチの秘書辺りが良かったぜ。」
そんな話しをしているとノック音が聞こえ、三大将が入ってくる。
「あーららら、前祝いのパーティーか何かか？」
「凄いねぇ～、億超えがこんなに沢山とはぁ～」
確かにそうだ。
アズリア率いる海賊団の隊長たちは全員億超え。
ちょっとだけ紹介する。
一番隊、鋼鉄のグラフ
二番隊、怪人スミノフ
三番隊、二爪の殺人鬼ビー＆ラブ
四番隊、女神ベルガモンド
五番隊、天空の狩人オオワシ
六番隊、変人ゲイル
七番隊、ドリームパフューマー・ラフレシアン
八番隊、神速の剣士一哲
こんな感じだ。
因みに能力者は８人中６人。
「わしゃ外にいる・・・」
気分が悪くなった赤犬はそうそうに立ち去る。
これだけの海賊が居るのだ、赤犬にとっては不快な場所のなにものでもない。
「そろそろ時間じゃな、行くかセンゴク？」
「そうだな。アズリア、お前たちも来るんだ」
「処刑台近くに居ればいいんでしょ？」
「何を言っている、お前は七武海と一緒だ」
最悪だと肩を落とす。
全員外に出て行くなか、黄猿はドアの入り口付近でアズリアが出てくるのを待った。
姿が見えると自然と隣りに並び一緒に歩く。
「元気ないねぇ～？」
「あたし人前嫌いだから・・・・」
「大丈夫だよぉ、わっしが見ていてあげるからねぇ～？」
「うん・・・・」
（船長・・・・）
（おっさん・・・・）
２人のラブラブっぷりを見せまいと青雉、マシューの両名は壁になり前を歩く。
２人は何気なくお互いの顔を見る。
共通する何かがあったらしく、同時に溜め息をつく。
「海軍と馴れ合うつもりはありませんが、まぁ何と言いますか・・・・」
「ああ～、まぁ何だ・・・お互い大変だな・・・・」
「えぇ、そうですね・・・・」
時刻は12時を指している。
広場に集まった海兵たちの決起の声がここマリンフォード中に響き渡る。
センゴク、ガープは処刑台に、三大将は処刑台下の椅子に、七武海は既に高台に居た。
マシュー率いる隊長たちは処刑台下、大将の真下に位置する場所に、アズリアは渋々独りで高台に向かう。
「だから人混みは嫌い何だよ！っと…………」
「へっへっへっ、ようやく来たかアズリアちゃ～ん？」
「触るな…………」
運悪くドフラミンゴの近くに来てしまい、またしてもピンクのモフモフに捕まった。
肩を組まれ、頬ずりされても抵抗しない。正確には出来ない。
奴の悪魔の実の能力らしく、まぁ抵抗してもいいが始まる前に問題を起こすのはさすがにマズい。
一方椅子に座っていた黄猿はドフラミンゴに捕まったアズリアを見て明らかに不機嫌だった。
ドス黒いオーラを出してサングラス越しに睨むその目はまさに悪魔。
「おいクザン、何でコイツは機嫌が悪いんじゃ？」
「あー・・・・気にすんな」
「なんじゃお前まで？」
戦争に紛れてドフラミンゴを殺しかねない。
今の黄猿なら確実やる。
男の嫉妬ほど醜いことはないと改めて知った青雉。
そうこうしている間に、火拳のエースが処刑台に到着。
時刻は12時を過ぎた。
「いい加減離してくれない？」
「いいじゃねーか、減るもんじゃねえだろう？」
「おっ、来たな・・・・・」
そう言うと海面を見るアズリア。
ドフラミンゴも釣られて覗くが何も居ない。