BOOK@

□パーティー編@
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アズリアが投獄されてから一週間。
その間にも白ひげという抑止力を失った海は荒れに荒れた。
冷たい床、海楼石の錠、薄暗い部屋。

思い出すのはあの時の記憶ーー

「っ!!!!!…………はぁ、はぁ、はぁ、………はぁ、はぁ………」

あの時の事を夢に見たのはいつ以来だろうか。
思い出したくもない暗い過去。

「アズリア様、五老星の皆様がお呼びです。一緒に来ていただけますか?」

「えっ?あぁ、分かった」

海楼石の錠をしたまま地下の独居房から移動する。
一週間振りに見た太陽は憎らしい程に輝き、とても綺麗に見えた。

ジャラジャラと鎖を引きずりながら老人たちが待つ会議室に向かう。

「どうぞお入り下さい」

ドアが開かれ中に入ると、5人の老人たちが椅子に座って待ち構えていた。
護衛の1人がアズリアに近づき、手足の錠を外して行く。

「一週間振りの外の空気はどうかね?」

「それなりじゃないですか………」

「どうだね?少しは懲りたかね?」

「何のことでしょう?」

「まぁいい。本題に入るが…………お前パーティーは好きか?」

「えっ?」

嫌な予感がした。

「今夜ここでパーティーがある。お前も出席するんだ」

「嫌です」

「これは命令だ」

「絶対嫌です」

断固として首を縦にふろうとはしなかった。
分かってはいた事だが、老人たちも頭を悩ませる。

「頼むアズリア…………」

「どうせエドワード聖から頼まれたんでしょ?」

「あぁそうだ、頼むからアイツと………」

「それ以上言ったら怒りますよ?」

「とにかく今夜6時からだ、分かったら出ていけ」

話しが終わるとアズリアはちゃっちゃと部屋を出て行く。
次に向かったのはもちろん彼の元だった。

「ちょっとどうゆうこと!」

「出て来てそうそう騒がしい奴だな」

「パーティーって?」

「んっ?あぁ、今夜のことか?まぁ、上からのご褒美だな」

ソファーに座るとタバコを取り出し火を付ける。
一週間振りのタバコをゆっくりと味わいながら詳しく話しを聞く。

「ご褒美って、戦争で勝ったから?」

「あぁ、今回の戦争で海軍が勝ったことで海賊たちに知らしめることが出来たからな」

「それで、なんであたしも参加しなくちゃいけないの?」

「天竜人も参加するらしいからな…………大方エドワード聖からのむちゃなお願いだろうな?」

「勘弁してよ…………」

「まぁ良いじゃないか、海軍の連中も来るんだしそれにボルサリーノ来るんだ、良かったじゃないか」

思わず咳き込んでしまう。
彼の名前だけ強調して言うところをみるとすでにコングは知っているとみた。

机で仕事をしていたコングが手を休めアズリアが座るソファーの向かい側に座った。
思わず顔を背けてしまう。

「お前にも大事な人が見つかったみたいだな…………」

「何笑ってるの?」

「いや、お前も女なんだなぁーと思ってな」

「当たり前でしょ」

短くなったタバコを消すと足を組み替えてまた新しいタバコを取り出す。

「怒らないの?」

「人の色恋沙汰に口出すほど野暮じゃないさ」

「ふぅ〜ん………」

彼女の境遇を考えれば別に付き合う相手が誰であれ幸せになって欲しいと思っていた。
世間一般から見れば海軍大将と海賊が付き合うなど前代未聞の話しだ。

「まぁ俺は陰ながら応援してるよ」

「ありがとう」

そんな会話をしている2人には近付いてくる足音など聞こえるはずもなかった。

ドンドン!!

「おぉ〜会いたかったえ!!」

「ウソ…………」

コングは苦虫を噛み潰したような顔をする。
奴隷を引き連れて現れたのは、先ほど話題に上がった天竜人・エドワード聖だった。

「ようやく出られたえ?身体は大丈夫かえ?」

アズリアの隣に座るとベタベタとスキンシップをはかってきた。
ソファーの端が軋む音が聞こえる。

「それで、何の用ですか?」

「おぉ忘れておったえ………おい奴隷たち!!」

奴隷たちがズラリと並ぶと、その手には一着ずつドレスを持っていた。

「まさか今日の?」

「そうだえ、お主に似合いそうなドレスを買っておいたえ」

「綺麗なドレス…………」

思わず立ち上がり手に取って見た。
一つ一つ丁寧に織り込まれたどれも手作りの一級品。

「どれでも好きなやつを持っていくといいかえ。宝石も用意してある、好きなのを身につけて今日のパーティーに来るといいかえ」
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