BOOK@

□新時代編C
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崩れた町並み。

所々には大きな瓦礫が転がっていた。

4日掛かってようやく到着したサカズキたちは、その変わり果てた町を見て驚きを隠せずにいた。

「まるで戦争でもした跡だねぇ〜?」

「何を呑気に言うちょる!!あの2人が接触した言うんは、戦争と一緒じゃ!!」

もはや廃墟と化していたローグタウンの町。
無事に逃げ出せた海兵たちをすぐに呼び寄せ話しを聞く。

「サカズキ元帥!?お疲れ様です!!」

「それで何があったんじゃ!?」

鬼のような形相で詰め寄るサカズキ。
黄猿は慌ててサカズキを止める。
一歩前に出たのは支部をまとめていた1人の少佐。

「我々が見た限りを伝えます……………」




さかのぼること10日前ーーーー

先にローグタウンに到着したのは黒ひげ海賊団。
警戒していた海兵たちは監視をしていた。

『ゼハハハハハ、そうか……………ご苦労だったなラフィット!!』

『いいえ船長、これも貴方の為ですから』

『ゼハハハハハ、楽しみだな!!』

『ウィーハハハハハハ!!船長!!先に相手するのは俺だぜ!!』

楽しそうに話しをしながら、町を闊歩する黒ひげとその仲間たち。
気づかれないよう、避難指示を出して町の反対側にある漁港から住人たちを逃がしていた海兵。

深夜には全ての住人を島から避難させていた。
海兵たちは攻撃に備えて準備をして待機。


翌朝になり、また一隻の船が港に入った。

『静かですね?』

『いいんじゃない………………』

ローグタウンに降り立ったのはアズリアとマシューのみ。
部下には待機の命令を出していた。

閑散とする町。
建物の陰からはちらほらと、海兵たちの姿が見えていた。
処刑台がある広場に行くと、黒ひげとラフィット、そしてバージェスが待ってましたと、ばかりに待ち構えた。

『ゼハハハハハ、会いたかったぜ!!』

『何のよう?』

『遠いところからすまねぇな?一度あんたとはゆっくり話しをしたかった』

『…………………』

やる気なさそうに話しを聞くアズリア。

『単刀直入に聞くが、おめぇ、俺と手を組まねーか?』

『断る、帰るぞマシュー』

『ゼハハハハハ!!そうだろうと思ったぜ!!』

帰ろうとする2人の前に立ちはだかるバージェス。

『ウィーハハハハハハ!!船長、俺はこっちのチッコいのをもらうぜ!!』

『やはり最初からこれが目的でしたか!?』

『ゼハハハハハ!!せっかく遠路はるばる来たんだ、テメェーの能力の一つや二つ奪ったって構いやしねーだろ!!』

辺りに緊張が走る。
見ていた海兵たちも固唾を飲み込む。
呼ばれた本人は、相変わらずやる気がなく抵抗するわけでもなくただジッと目を瞑って動かずにいた。

『テメェ、何のつもりだ?』

『どうせなら殺してよ………………』

『船長何を!?』

『いい加減…………………疲れちゃったって言うかさ………………何かもう、全部がどうでも良いって思っちゃってさ……………………』

『そんな!?一体何があったって言うんですか!!』

『ゼハハハハハ!!良いだろう!!望み通り、殺してやる!!』

腰にさしていた銃が抜かれる。

カチャリ!

撃鉄が引かれ、冷たい銃口がアズリアのひたいに当てられる。
引き金に指先が掛かり、ゆっくりと確実にそれは引かれた。

『ヤメロォーー!!!』

『ゼハハハハハ!!!これで!!俺が!!世界最強だぁーー!!!!!』

高らかに笑う黒ひげ。
悲痛な叫びを上げながら駆け寄るマシュー。



「それからどうなったんだぁい?」

説明していた少佐はなかなか話そうとはしなかった。
自分が目の当たりにしたことが、果たして夢だったのか、現実だったのか、10日経った今も未だに理解出来ていないからだ。

「何故話さん!!さっさと喋らんかい!!!」

「はっ、はい!!私もそうですが、部下たちもとても現実とは思えないものに遭遇しまして………………」




一発の銃弾がアズリアの頭部を撃ち抜いた。
冷たい地面に力無く倒れる。

『そんな、船長………嘘だ…………嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ!!!』

目に涙を溜め、ヨロヨロと地面に横たわるアズリアに近づき必死になって体を揺する。
どんなに力を込めて揺すっても、どんなに大声を上げて名を呼んでも起きる事はなかった。
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