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□シャボンディー編C
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逃げ道が無くなる前にレーザーで応戦するが、実体が捉えきれず周りを濃い霧に囲まれてしまった。

「参ったねぇ〜………」

絶好の機会にも関わらずアズリアは手を出さず、能力を解除した。

霧の形状から姿を戻すと、今度は地面に両手を差し込み固いはずの地面がグニャグニャと波打ち始める。

「大波小波・・・・」

「何だぁ〜?」

「小波・釘棘!!」

一度大きく地面が波打つと地面が津波のように立ち上がり、表面から鋭く切り立った土塊が飛び出す。
猛烈な勢いで立ち上がった地面が黄猿に向かって襲いかかってくる。

「おぉ!!」

レーザーで反撃してみたがとても間に合わず、激しい音とともに黄猿はそのまま飲み込まれてしまった。

「オジキ!!」

「よそ見して良いんですか?」

一方のマシューは、アズリアたちの戦いが始まる前より戦いが始まっていた。

黄猿の部下だけあって、そこらの海兵よりかは強いが肩慣らし程度の相手でしかなかった。

「わい相手にここまでやるとはなかなかだな」

「えぇ、そうでなければ“副船長”は務まりませんからね?」

「テメェー程度で副船長とは笑わせる!!」

ピクリと眉が上がる。
あまり怒らないマシューではあったが、その言葉にイラッときたのか多少顔つきが変わる。

「なら少しだけ本気を見せましょう………」

フゥーと、息を吐くと脇を締めて構える。
まさかりを構えた戦桃丸は好機とばかりに近付き振り下ろす。
片手で軽く受け止めると、そのまま力を入れてまさかりを粉々にする。

「わいのまさかりが!?」

驚きのあまりたじろいてしまう戦闘丸に対し、マシューは容赦なく鳩尾を思い切り殴る。
マシューより遥かに体が大きい戦闘丸が軽々と宙に浮く。
無抵抗のまま浮き上がる戦闘丸に追い討ちとばかりに、上から地面に叩きつけた。

「ぐあっ!!」

地面に沈む戦闘丸。
土煙が立ち込めるなか立ち上がる事はなかった。

「あっちは終わったか…………」

「おぉ、やられちまったかぁい戦闘丸くぅん?」

普通の人間ならば助からないが自然系能力者はそんな攻撃が効くわけもなく、飲み込まれた箇所が爆発し何事もなく黄猿は立っていた。

「一筋縄じゃいかないか…………」

一息つくと大きく足を開き片手を突き出し構える。

「古武術八卦、皇牙の構え・・・・」

「殴り合いはわっしの趣味じゃよぉ」

再び右足が発光しレーザーがアズリアに向けられたが、その速さを上回るスピードで攻撃をかわし一気に間合いを詰める。

「っ!おっとっと、ビックリしたねぇ〜?」

瞬時に後ろに下がったが、その尋常じゃないアズリアの速さに体がついていかず、右わき腹にその重たい拳が当たる。

次に足下が狙われ、わき腹を押さえながらジャンプするとすかさずアズリアもジャンプし蹴りを二発、一撃目はかわせたが二撃目はかわせずまたしてもまともに脇腹に食らってしまった。

「くっ!」

脇腹を抑えその場に膝を付き苦痛に顔を歪ませて痛みに耐えていた。
大将になってから膝を付いた事などなかった黄猿。

これほどまでの屈辱はなかった。


「ここまでかな?」

「船長そろそろ………」

「分かった…………レイリー久しぶりに会えて良かったよ!」

「君こそ元気そうで何よりだ!!」

新たな海兵の部隊が到着する前に、アズリアとマシューは姿を消した。

台風が去った後のように静かになる。
わき腹を押さえながらゆっくりと立ち上がる黄猿。

「参ったねぇ〜………」

軽い気持ちで手を出したばかりに深手を負ってしまった。
これがロジャー、白ひげと渡り合った海賊の実力なのかと身を持って知ることなった。
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