BOOK@

□マリージョア編A
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ニコニコ笑いながら近付いてくるエドワード聖を見るなり、小さく悲鳴をあげながらまたしても黄猿の陰に隠れた。

「エドワード聖……………申し訳ないのですが、私は今から彼と大事な約束がありますので今日は失礼したいのですが……………」

「うむ、お主からそう言われたのでは仕方がないの………………そうだ!!!お主の為にプレゼントを用意しておったのだ!」

そう言うと連れてきていた奴隷の一人から小袋を奪う。
中から小さな入れ物を取り出しアズリアに開いて見せた。

「どうなさったのですかこの指輪は………………?」

「お主の為に特別に作らせたエンゲージリングだ、どうだ綺麗だろう?」

一瞬自分の耳を疑った。
【エンゲージリング】
確かにエドワード聖はそう言った。
こんな物まで持ち出して、この男は本気で妻に召しとる気だと感じとり体が震えだす。

「こんな高価なもの受け取れません、それに私は海賊、いつ命を落とすか分からない身の上、これを頂いたところで約束を守れるとは思えませんし…………」

「構わぬ、これをしていれば何時でも私の顔が思い出せるであろう?」

半ば無理矢理黄猿の陰から引っ張り出して左手の薬指にリングをはめるとエラくご機嫌の様子だった。

後ろを向き何とか外そうと試みるが、どんなに力を籠めても抜けない。
それどころか身体から力が抜けて、上手く立つ事も出来ない。

「あの…………エドワード聖もしかして……………」

「そうだ、お主が逃げぬように海楼石も埋め込んである」

だんだんと力が奪われ足にも力が入らずフラフラと黄猿に寄りかかってしまう。
早くこの場から立ち去りたいアズリアは黄猿の袖を引っ張り合図する。

「そろそろ行かねぇとぉ〜」

「それではエドワード聖…………失礼致します……………」

誤魔化す為に来た道を戻ると2人。マシューも遅れてついて行く。

「くっそ…………はぁ、はぁ…………」

ひとまずコングの部屋に向かう事になった3人。
力が入らない身体を引きずりながら歩くが黄猿の支え無しでは歩くこともままならなかった。

「大丈夫かぁ〜い?」

「早く………外さないと……………」

一瞬意識を失ったアズリアは、前のめりになり倒れ込む。
慌てて助けに入る黄猿は一刻の猶予もないと判断し、アズリアを抱き抱えると走ってコングの部屋に入り込む。

「何事だ許可も無く!んっ?どうしたんだ!?」

「ソファー借りますよぉ?」

マシューが説明に入る間ソファーにアズリアを寝かせ、指輪を何とか外そうと力一杯引っ張ったが抜けない。

「どうしたもんかねぇ〜?」

「外れんのか?」

「海楼石なんでぇわっしではダメ何ですねぇ〜」

他に外す方法はないかと考える2人。
コングは何か道具がないか探さしてくると言い部屋を出る。
マシューもまた船に何か有るかもしれないと探しに戻る。

「んっ…………」

「大丈夫かぁい?」

「…………ありがとう…………助けてくれて」

苦しみながら助けてくれた礼を黄猿に伝える。
ソッと頭に手を置くと優しく撫で少しでも苦しみが安らぐようにと気遣ってくれていた。
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