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□海軍本部編A
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センゴクとの会話にしびれをを切らした先程のピンク色の男が話しを割って入ってくる。

「なぁ、コイツは何者だ?海軍じゃねーのは確かだ。だからと言って俺ら七武海のメンバーでもねー?どこの馬の骨ともしれねーヤツを戦力に加えるたぁー、落ちたもんだなー?」

「黙れドフラミンゴ、少なくとも貴様よりは信用に値する」

「いや、確かにこやつの言う通り。名の通った海賊ならまだしも、素性の知らぬ輩を加えるというのは些か腑に落ちぬ。」

各々思うままに話し始める。
まぁ確かに全く彼女を知らん連中ばかり。
説明したところで信じるとも思えんがと、あらかじめセンゴクが用意していた用紙を配り始める。

それは、未だに残っているアズリアの手配書。
いくら政府に手を貸してるとはいえ、七武海ではない彼女が手配書から消えることはなかった。
それを見るなり先程まで口を開いていた連中は黙り込む。

「あーららら、まさか生きていたとはなぁ?」

「……………」

「ふぅん」

20年以上前の手配書、しかも今と変わりない姿。
とても信じがたいが、今、目の前に居る彼女は間違いなくあの最凶の女海賊。

「俄には信じがたいが本人だという証拠もなかろう?」

喰って掛かるのは、先程ドフラミンゴと呼ばれる男と睨み合いをしていた黒い服の男。

「鷹の目の言う通りだ、何十年前の手配書出されたって本人に似てるだけかもしれねー?」

あからさまに挑発してくるドフラミンゴ。
ふぅーと紫煙を吐き出しながらタバコを消す。

「くだらない…………」

「何だテメェー?俺とやるか?」

「止めんか馬鹿者!」

センゴクの一喝で椅子から立ち上がったドフラミンゴが面白くなさそうな顔で部屋を出る。
それを合図に七武海のメンバーは次々と出て行き、後に残ったのは海軍の面々とアズリアたちのみ。

「相変わらずじゃのアズリア?」

「そう?これでもかなり抑えているつもりだけど?」

「お前を敵に回したら命がいくつあっても勝てんからの?」

「あんた、今までどこに隠れていたんだい?」

「隠れてわけじゃないよ、新世界で色々とやることがあってね……………」

それだけ言うとまた新たにタバコを取り出し火を付ける。
静まり返る室内。

「で、勝つ見込みはどれくらい?」

「見込み・・・・か、我々海軍は絶対的な正義の名の下に勝てねばならん。必ずな、だからこそアズリア一番はお前に掛かってる。白ひげと対等に戦えるのはかつての奴を知る我々かお前くらいだからな」

「何でコングといい、あんたといい期待するかな?」

「この戦いがこれからの時代にどう影響するか、お前なら分かるだろう?」

おおよその見当はつく。
ここで海軍が負ければ、世界の秩序が崩れ勢いづく海賊や革命軍。
しかし白ひげが負ければ、海軍の名目は守られる変わりに白ひげという抑止力が無くなった海は荒れる。
どちらにしても時代は動く。

「まっ、あたしはやれるだけの事はやるから心配しないで。」

「期待はせんよ…………」

話しが終わるとアズリアは立ち上がり、マシューとともに部屋を出る。
しばらくしてから黄猿も一言断り部屋を出る。

「良いんですか?」

「何が?」

「出来もしないことを言って?」

「別に、最低限の事をやればいいんたから」

廊下を歩いて角を曲がると、何かにぶつかってしまったらしく後ろによろめく。
不意に腕を掴まれ倒れずにすんだが、掴まれた相手が悪かった。

「大丈夫か?」

「お前はさっきの…………」

「どうだ?今からお茶でもしねぇか?どうせ暇だろ?」

グッと抱き寄せられ、かなり近い距離で話しをする。
ピンクのモフモフは気持ち良かったが、それ以外は興味がなかった。
何とか抜け出そうと身体を動かすがビクともしないその力。
それどころか、腰の辺りを触り始めたドフラミンゴにすかさずマシューは攻撃を仕掛けた。

「そう怒るな、まだ何もしちゃーいねぇだろう?」

「おぉ〜こんな所で何をやってるんだぁ〜い?」

現れた影に興が冷めたのかそのまま姿を消したドフラミンゴ。
一気に疲れたアズリアは黄猿にお礼を言うと立ち去ろうとする。

「わっしの部屋に来ないかぁ〜い?美味しい紅茶があるんだけどもぉ?」

「分かった………」

マシューを先に船に帰すと、黄猿に連れられて彼の執務室に向かった。

部屋に着いたアズリアは黄猿に案内されるがままに中に入る。

「あーららら、邪魔したか?」

「クザ〜ン、人の部屋で何してるんだぁ〜い?わっしは招待した覚えはねぇよぉ?」

「久し振りにあんたの顔を見に来たんだがな…………それより、どういう関係?」

頭の上にアイマスクを着けたクザンと呼ばれたこの男。
一応海軍大将の1人なのだが、女癖が悪いので有名だった。

「でさぁー、手配書と全然変わらないってのは何で?」

「女なら誰でもいいの?」

「クザ〜ン、女性に対して失礼だよぉ〜?いい加減にしねぇなら今すぐ光の速さで消えてもらうよぉ〜?」

「そう怒るなよ?別に口説いてるわけじゃないだろうが……………てかさ、あんたずいぶん彼女と仲良いじゃない?」

「だからぁ〜?」

一瞬だけドキッとしたが平静を装っていた。
しかし、内心は大慌て。
背中に冷や汗を感じながら早く同僚が立ち去ってくれることを願っていた。

「あんた、隠すの下手だな」

「何の事だぁい?」

「さっきから目が泳いでるぞ…………」

何も言わずに出された紅茶を一気に飲むと素早く部屋を立ち去った。
ドアの前で額に手を当て深く後悔した青雉。
同僚の色恋に口出しするなんて野暮なことはしない。
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