ろくーんのアニマル大騒動!

□2人目
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困ったことに何事もなく一日が終わってしまった。

あの出来事が夢だったのかどうかわからない
あれだけいろいろあったのに俺の頭は
事実と現実をすんなりと受け入れているようだ。

「あ、まさかあれ全部夢か?」

そうだ。そうにちがいない。
いくら大事に育てようと犬が人になるわけないんだ。
そうだ!そんな話聞いたことも見たこともない!

「仁、お腹空いたんだけど」

「…はい、わかったもうちょっと待って」

夢なわけなかった。
聞いたことはなくても見たことはあった。

そうですよねぇー、と心で泣きながら
キッチンへ向かい朝食の準備を始めた。

「あ、かずってご飯どっち?犬用?
人用?」

「どっちでもいける。でも人用のほうが俺は好きだな。」


まぁでも犬用もいけるとしても人の姿でドックフード食べられるのはちょっとな…

「あ、そういえばさ、もう犬に戻れたりしないの?」

昨日からずっと人の姿だからもしかしたらもうずっとこのままの姿なんじゃ、なんてことを思ったりした。

「戻れるよ」

かずの言葉にほっと一安心した。

「どうやったら戻んの?時間とか?それともなんかすんの?それとも」

興味津々で聞く俺にかずはあきらかに嫌そうな顔をして後ずさりをする。

「いっぺんに聞くなって、もちろん時間でも戻れるよ」

「どのくらい?」

「だいたい3日ぐらい、体力がつきたら犬になる」

「じゃあ3日は人の姿ってこと?」

「そうはいってねぇよ、もちろん3日内に戻ることもできる」

「どうやって?」

かずはその場に立った。
俺はその一連の動作を瞬きもせずにじっと見た。

気になる。どうやって元の姿に戻るんだ? 

うずうずしながらジッとかずをみると
「あんまジロジロ見るな」って顔をそらされた。
見るなって言われたら見たくなるし
顔をそらされたら

なんかかわいいよね!

「…もうやるぞ」

「おっけ、いつでも」

かずは目を閉じた。
そして一つパン、と手を叩いた。
もうひとつ手を叩いて最後にもうひとつ手を叩いた。

瞬間にかずの周りに煙が立ちポン!
と音がした。
煙が引くとかずは元の小さなポメラニアンに戻っていた。

「か…かず?」

きゃん、とひとつ鳴いた。

丸くなった目にさらに追い打ちをかけるように
かずはクルッと空中でバク転をした。

「うわっ!」

またポン!と音を立てて煙がたった。

「な?戻れるだろ?」

今度は人の姿になったかずが自信げに笑った。

「も…」

「え?」

「もう一回やって…?」
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