仁亀

□魅録と亀梨
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「おはよお、魅録くん…雨の日も学校かい?」

「まぁ、そっすね、」

「気をつけて行きなさいよ」

「うぃーす」

近所のおじいちゃんに話しかけられた。
雨の日も学校か、だって、
行かなきゃならんのだよ、雨の日でも

いつものバイクに乗って、いつも通る道を通って学校へ向かう。
が、本日は雨、気分的にも少し憂鬱だ。


そんな俺の最近はまっていること、

男山と夜のお散歩に行くこと。

今日はどうしようかなぁと思いながらもいつもの生徒会室に到着。
途中で校長たちがギャーギャー言っていたが無視だ。無視。

「あー!めっちゃ濡れた」

「きゃっ!魅録!こっちに雫を飛ばさないでくださいな」

「あ、わり」

豪快に髪を書き上げたせいで野梨子に怒られた。
にしても制服はびしょびしょだし髪も濡れた。
よし、今日は授業サボるか

「それよりも魅録、早くそこをのかないと…」

「あ?」

清四郎の言葉を遮るようにして俺のすぐ後ろの扉がバン!と開いた。
当然ドアの真ん前にいた俺はふっとばされた。

「うぉ!」


「水に滴る僕、完璧だね!ねぇ、魅録もそう思わない?」


「あぶねっ!どけ!」

「うわぁ!」


ガシャン!と音を立てて美童に突っ込んだ。

間違いない、こんな馬鹿力あいつしかいねぇ

「いゃー!めっちゃくっちゃ濡れたー!」


「いってぇー…!おい悠理!あぶねぇーだろ!」

「そうよー、悠理まーたドア壊して」

「いやー!わりーわりー!すっごい濡れちゃってさぁ!」

「俺よりドアの心配かよ…」

「僕の心配もしてよぉ…!」

「それより可憐、先程から何を見ているのですか?」

清四郎が可憐のそばによるとみんながワラワラと集まりだした。

「ん?なんだそれ、占い?」

「そ!恋占い!これで私の運命の人を占うのよ!」

可憐はパッと笑って本の表紙を俺達に見せた。
ほどほどに当たる恋占い。
なんだよほどほどって
悠理なんかは珍しそうにじっと見ているが
他の奴らなんかはまたかと言わんばかりばかりに興味を逸らした。

「んなもん当たるわけねぇだろ」

「私も当たるとは思えませんわ…」

「ちょっとぉ、何よその言い方、あ!じゃあ魅録!やってみなさいよ!」

「はぁー?なんでおれが…」

「一番無縁そうなあんたがやるからいいのよ!はいかいいえでこたえてね!」

「あっ!あたしもやりたい!」

「僕も!」

悠理と美童がはいはいはい!と手を上げ身を乗り出した。

「はいはい、あとでね!」

悠理とか俺より無縁だろ、やりたがってるしあいつら先にやらせたらいいのに…

「じゃあいくわよ!
1、今日の朝ごはんは魚を食べた」

「いやそれぜってぇ恋愛かんけーねーだろ」

何だこの質問、最近はこんなのでほんとに分かんの?

「いーから!どっち?」

「あー、今日飯くってねぇてねぇな…
いいえ」

「つぎ!犬を飼っている!」

「はい」


長いなぁ…と思いつつも占いはまだ終わらない。

「じゃあ最後!今日一番最初に話したのは女の人?」

「え、あー、どうだっけな、教頭に話しかけられたな…あー、でも俺は喋ってないから違うな、じゃああ、野莉子か?」

「じゃあはいね、えーっと…」

「あー!まった!いいえだ!俺今日じいちゃんと話した」

「え?魅録お前じいちゃんと一緒に住んでたか?」

「近所のだよ」

「はい!でました!」

「なになに?」

「えーっと、はいが25いいえが25だから…」

おいおい、50問もあんのかよよく頑張ったよ俺

「あっちゃー…」

なんだよその周りくどい言い方、きになるな

「ちょっと見せて、」 

「あ!ちょっと!」

「あたしも見たい!!」

「えーっと、はいといいえが半分半分のあなた、なんだかとてもいいことが起きそうです。素敵な出会いがあるのかもしれません。
へぇ、全然いいじゃん」

占いなんか信じてはいないがいい結果が出ればなかなか嬉しいものだ。

「最後まで見なさいよ
ほら、ただし、答えが半分半分のあなたは同性愛の症状が見え始めているのではありませんか?」

「は!?なんだよそれ!!んなわけ!」

「だっ!大丈夫よ!ほらここ!
そんなあなたも大丈夫!最後の質問がいいえのあなた!素敵な男性に出会えることまちがいなし!信じて頑張りましょう!…だって!」

「おれ…素敵な男性に出会うのか…!?」

「あっ…あぁー、」

しまったと言わんばかりの顔をする可憐の横で野莉子がつくえをばん!と叩いた。

「たっ!大変ですわ!清四郎が…!はやく!早くお逃げになって!」

「美童!あんたも速くどっか行きなさい!」

なんだこれ…詰んだ…



俺の人生終了の鐘がなってる気がする


「なー!あたしも早く占ってよ!」
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