仁亀

□サクラ
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高校の時、かめがずっとなついていた教師がいた。

そいつは新任の英語教師で、かめは英語が嫌いなのにテスト前になるとその教師のところに入り浸っていた。

俺は英語は得意な方だったからその教師の補習はけずに帰った

だからその日だけはかめと一緒に帰らなかった。

面白くない。

かめが他のやつになつくところを見るのはおもしろくない

「なぁ、今日いくのか?…その、あいつのとこ」

あいつと言うとかめは一瞬何のことだかわからないような顔をしたが
すぐに、あぁと頷き照れたように笑った。

「うん、いく、だから先帰ってていいから」

「…そっか、わかった」

またね、と言ってパタパタと走っていくかめにこけんなよ、と一言だけ言ってすぐに背を向けた。

ぎゅっと握っているかめの英語の教科書

中学の時は新品同然のように奇麗だったかめの英語の教科書、だが今は付箋だらけで中もびっしりと和訳されている。

それ程にあの教師の影響は大きいのだろうか?

面白くない。

これじゃかめがあの教師に好意を持ってるみたいじゃないか

あほらしい、とは思いながらもそうではないようにと願った。

テスト前のグラウンドに部活の生徒はいない。

飛行機の音だけが空気に触れていた。
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