偽りMarionettista

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_ジャンside_

さっきまで周囲を警戒するように周りを見回していたフィリアがいつの間にか頭をカクカクさせながら眠っていた

…疲れが溜まってたって事だな


「ん?寝ているのかい?」

「そーなんだよ」

「フフ…疲れてたんだな」

「そーネ」


フィリアーナの肩をそっと自分の方に引いてもたれ掛らせる

小さな寝息が俺の耳を擽った

なるべく優しくフィリアの頬を撫でると『んっ…』っと小さな声を上げるがまた規則正しい呼吸音に戻る

…今の声、妙に腰にクるな…

って、何考えてんだよ俺は!!

脱獄した後、ヤりたくなる衝動に駆られるのは経験済みだが…まさか男にまで盛るとは…

でも、それだったら他の奴にでもなってる筈だよな?

…フィリアだからか?

まじまじとフィリアの寝顔を堪能していたら1つのことに気が付いた

…睫毛が…金色?

変装しているのは知っているが完璧過ぎて今の今まで忘れていた

完璧とはいえ睫毛まで赤毛にはできなかったんだろう

太陽に照らされてキラキラと反射していた

ってことはフィリアの地毛は金髪ってことか

他の奴はフィリアが変装していることさえ知らない

……ジュリオは気付いてるかもしれないけど

俺だけがフィリアのことを知っている気がして少し嬉しくなったのは秘密な?


にしても長時間膝に乗せてるのにあんま痛くないくらい軽い

此奴…ホントは男じゃないんじゃ?

肩幅だって広くないし何より細い

期待を寄せてみるも胸を見れば一目瞭然

フィリアには悪いが少し落ち込む


「ジャン、さん?」

「ん?どうした?」

「い、え…1人で十面相されていたので…」

「あり?俺そんな表情変えてた?」

「はい…言わない方が、よかったですか?」

「いや、気にしてねぇよ」

「よかった、です…フィリアさんは…寝てしまったんですね」


そう言ったジュリオの表情が緩む


「可愛い、です……」


ボソッと呟いたジュリオの一言を俺は聞き逃さなかった

確かに…あの切れ長の目を閉じたフィリアは可愛かった
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