偽りMarionettista

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_ジャンside_

ガサガサと音を出しながら森の中を探索する

そーいや、まだ水見つけてなかったな…

イヴァンの言葉を思い出しとりあえず水を探すことにした

人間水が無かったら死んじゃうからねん

…っても、川とかはなさそうだし。
あったとしても泉か何かくらい…だよな

ゴチャゴチャ考えながらうろついていると微かだったが水の音が聞こえた

…俺ってばホントにラッキーネ

歩くごとに大きくなる水音に嬉しさを感じながら音のする方へ足を運んだ



後一歩のところで俺は足を止め、しゃがんで身を潜めた

目線の先には先客が水浴びをしていた

あれは…女か?

綺麗な少し長い金髪から水が滴り、前髪を掻き揚げる仕草に見とれてしまった

…はぁ…女なワケがねーか…

俺の期待は易々と裏切られた

って、あれ…

待てよ?フィリアの地毛って金髪だよな?

…まさか…

岸を見回すと着ていたであろう服と真っ赤なウィッグが置いてあった…


「…マジ、かよ…」

『…?おい、誰か居るのか?』

「!?」


流石とでも言うべきか俺の気配に気付いたようだ

今少しでも動いたら絶対にばれる

どうするか焦っていたのが間違いだったのか?


『………ジャン、お前…!!』

「あ、はは〜……ごめん」

『っ、最っっ悪だ…』


顔を上げると目の前には赤髪じゃない、金髪のフィリアが俺を睨んでいた

あの切れ長な目じゃなく、女みたいな大きい目からスカイブルーの瞳が冷たく俺を映した


「…み、見るつもりはなかったと言うか、偶然っつーか……」

『はぁ、当たり前だ。意思があったら殺してる』


冷たく言い放つフィリアは着ていた服を着直しウィッグとカラコンをつけ何時もの姿になった


『………見られたのがジャンでまだよかった』

「え?」

『っ、だから!お前でよかったって言ってんだよ!』


…多分、今の俺の顔はニヤついてるだろう


『何ニヤついてんだよ!
って、勘違いすんなよ?普段の姿が偽ってるって知ってるお前でよかったって意味だからな?』

「はいはい、わかってまース」

『前言撤回、最悪だったわ』


はぁ…っと深いため息を吐きながら解散した場所に戻ろうとするフィリアの背中を追いかけた

…だって、本当の姿があんなに可愛いってこと俺だけが知ってるなんて、ニヤつかない訳がない
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