沖田総悟

□月灯り
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「はあ・・・はあ・・・」





ーーーー どれくらい歩いたのだろうか


宛もなく歩き、着いた所は物凄く賑やかで
街は綺麗で平和で・・・



「・・・ここが、歌舞伎町・・・?」



ーー私は、ここから遠く離れた村に住んでいた
その村もすごく、平和だった


・・・前までは







父さんを殺された

母さんを殺された

村の皆を、殺された




何時か、絶対に復讐する

そう 心に誓った



ふと、建物の前で立ち止まった

ここは・・・



「・・・・・・よろず、や・・・?・・・・・・・・・あ、」


何日も休まず歩き続けたせいか
急に意識が遠くなる



だめだ・・・



そのままその場で倒れた






ーー






久々に万事屋へ足を運んだ

まあ、これといって用はないんじゃが・・

たまには、な


「・・・ん?」


万事屋の前に 人が倒れているのが見えた

慌ててかけより、仰向けに倒れている少女の
上半身を起こして声をかける

よく見ると 服ボロボロ、体は汚れていて、裸足だった

それに・・・手には握り締められた 刀


歌舞伎町の者ではない・・・


反応が無い
が、息はしている

少女の額に触れると熱かった

熱がある


「万事屋・・・!!」


少女を背中に担いで階段を駆け上がり勢いよく戸を開けた


スパーン!


「銀時・・・!!!!」


中へ入ると何やら銀時は何かを書いている最中だった

銀時は書類に目をやりながら怠そうな声を出した


「あーお客さんごめんね〜今日はOFFなんだ・・・って、何してんの?!」


やっと気づく


おい
遅すぎるじゃろ・・・


「銀時・・・とりあえず この子を・・・」

「あ、ああ・・・」


銀時は 話は後で聞く、とだけ言い、奥からタオルと水の入った桶を持ってきた



**


「・・・で、この子はどっから来たんだ?刀あるし・・・マジで何者なの てか銀さんロリコンじゃねえし・・・」

「それは、わっちもわからんのじゃ」


眉間にシワを寄せ 妙に真剣に話す銀時
ロリコンかロリコンじゃないか など
こっちとしては別に興味は無いが
銀時にはとても重要な事らしい

ソファに腰掛け 今まであった話を全てする

汚れを拭き取り 服を着替えさせてから
額に冷やしたタオルを乗せ 向かいのソファに寝かせた

こころなしか さっきより随分顔が穏やかになった気がした


「歳は17か18ぐらいか・・・?」

「ネェてかさあこの子どーすんの!?まさか俺に預かれとか言わないよねえ?!」

「こんな危ない男の所に女の娘を1人で置いていけるはずがない」



慌てる銀時に 呆れ顔で 当たり前じゃろ と最後に一言



「刀持ってんのに?」


「それとこれとは、別じゃ」



わけわかんねー とそっぽを向く銀時

本当に面倒くさい男じゃな・・・



「・・邪魔をしたな、銀時。礼を言うぞ」


「エ・・・ああ、銀さんにかかればこのくらい朝飯前だからさぁ」


後頭部に手を回し ハハ、と笑う銀時をよそ目に 娘を担いで万事屋を出た


さっきは急いでいて気付かなかったが
軽すぎる
そういえば 顔もこけている
熱はマシになったが・・・


・・・連れて帰るか


娘を1人背中に乗せ 吉原へ向かった








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