沖田総悟

□月灯り
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「っは・・・!っは・・・!・・・っ、」




どれくらい熱中して稽古をしたのだろうか

気付くと 汗でびちょびちょ
毛先から汗が滴り落ちて来た




「・・・なかなか、いいじゃねえか」


「・・・・・・高杉晋助・・・」




声のする方を見ると
厨二病男が戸に持たれかかっていた




「ちょいと俺にも相手してくんねえかァ?」



不敵に笑うと 壁に立てかけてあった木刀を取る



「・・・変な人」


「おいおい・・・そりゃァ お互い様だろォ?」



また ククッ、と笑う
本当に変な笑い方・・・



高杉晋助は 私と距離を取り 向かい合うと
木刀を構えた

私もすかさず木刀を構え、気を集中させる



・・・交えなくても分かる
本当にこの人は強い



「・・・よそ見してんなよ」


「っ・・・!!!!!」



しまった・・・!と、体制を整えようとしたが 遅かった

いつの間にか木刀が私の首に触れていた


速すぎて見えなかった、悔しい


一気に力が抜け、その場にへたり込む


・・・立てない。足に力が入らなくなった



「てめえ、びっくりして腰が抜けたかァ?ククッ」


「・・・っうるさい、違う」



笑いながら差し伸べる 高杉晋助の手を払い除けた



「っどういうつもりなの、?

・・・わけのわからない所に攫っておいて、

こんな広い道場を私に使わせろだとか、

相手しろだとか・・・っもう分かんないし。」



ずっと意味が分からないまま
あなたは、何をしたいの・・・?
頭が混乱して思わず涙が出る



「・・・・・・・・・さぁな」


「また、それ・・・っ」


「・・・ただな、」



高杉晋助は 目線を合わせるようにしゃがむと
私の涙を手で拭った



「俺ァ、てめえの敵でも味方でもねえ」



そう言うと、木刀を壁に立てかけ 道場を出ていった



「・・・・・・・・・本当に分かんない人」



呟いた言葉は 広い空間に散って消えた




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