とらいあんぐる

□作文を書こう
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放課後、図書室に集まった私達野球部



理由は作文を書くため





何故図書室かというと、本日はあいにく雨。



外の部活のほとんどが校内を使って筋トレやら階段ダッシュやらをしていた




そのため私達野球部は人のいない図書室で作文を書くことになったのだ






「なァ花井ー、何書けば良いんだよー」

「オ、オレ、作 文、苦手…」

「だよなァ!1言じゃ駄目なのかよー!」

「ダァ!うるせえな!
今の自分の目標とか、部の様子とか、気づいた事とか書きゃいいんだよ!
1言とか許さねえ」

『では2言はどうでしょう』

「ハァ、考えりゃ分かるだろーが!」

『なるほど、2言でOKと』

『ダァー!!バカか!』

「花井ーここ図書室」




沖と西広が両側から花井をなだめる。



さすが、落ち着きがあるなぁ









ーーーカリカリカリ…





「でーーーっきた!!!!」

「早えなー田島、ちゃんと書いたのか?」


泉が田島の作文に目を通す




「ッブ!!なんだこれ!?
ほとんど"ゲンミツ"しか書いてねえじゃん!」

「ニッヒヒー!!俺の目標はいつでもゲンミツに勝つ!だ!」

「だから使い方ちげえって何回言やいんだよ…」


花井が呆れ顔で田島の方を見ていた









ーーーーー



「フー、みんなだいたい書けたか?」



周りからはできたよーと声が上がり始める





『ぇ、みんな早くない??』

「え、なまえまだ半分…?」



隣の栄口が私の作文を覗きこんだ




『見ないでっちゃ!』

「ごめんごめん」



「あ、阿部 くんも、ま、まだっ」

「作文って苦手なんだよなァ、いまいち書けねえ」



阿部が苦手だなんて珍しいなー、なんて思って周りを見ると



なんとまだ書いているのは私と阿部だけだった






「お前らまだかかるか?」


花井が聞く


『私はまだまだ…』

「俺も、まとまんねぇ」



「じゃあ二人はイノコリでいいじゃーん!」

『イノコリ?』



田島が、うーんと伸びをしながら言う




「だってさ、書けた奴から帰っていいってモモカン言ってたんだろー?花井ー?」

「あぁ、まあそう言ってたな」

「じゃあ俺ら帰っていーのか?」


水谷が聞く



「どうする阿部、みょうじ?」

「いや、俺は別にいいけど」

『私も…』



いや、ちょっと待って




イノコリ、みんな帰る、


ってことはここで二人きり…!?




阿部と二人きり…!?





なんて幸運…





いや、待てよ




…そうだ、階段で抱きしめられた(?)んだ…




巣山が"阿部が探してた"なんて言ってたし、






き、気まずい…かも





でも、これも何かの縁かもしれないし…





でも、でも






『っ、さ、栄口、ちょっと!!』

「うっわぁ!!?」




私は栄口の手を掴んで図書室の外へ出た




「二人きりじゃん」

『え?』



栄口はエスパーか?




言いたいこと分かるのか?






「メアド聞くチャンス
それに二人きりだよ?いいと思う」


『い、いいのかなぁ!?
二人きりになっちゃって!』

「いいに決まってるじゃん
こんなチャンス無いよ?」



チャンスは今だけ、か




よし



『栄口、私がんばる!』

「…がんばれ、なまえ」



 
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