とらいあんぐる

□ふたり
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サーーーーーー…
  サーーー…






放課後の図書室に、女と二人





聞こえるのは雨の音だけ








『ね、ねえ』




その沈黙を破ったのは



俺の斜め前に座ってシャーペンを握るみょうじ。





「んー?」


『ええっと、さ』









なんだこの間は、






『そ、そう、昼休み!
探してたって巣山に聞いたんだけど…』


「ん、ああー、探してたな」


『…なんで?』


「いや、階段で会った時なんか様子変だったし、何かあったかなって思っただけ」



俺がそう言いながらみょうじの方を見ると
  



慌ててシャーペンを握り直して作文用紙に視線を移した




?なんだこいつ





『もしかして、心配…とかしてくれた?』

「んー、まァ」

『!!そう、なんだ!ありがとう!』





何故かパアーっと笑うみょうじ。





よくわからん奴だ…






「あぁ、そういや階段で…その、触っちゃってごめんな」

『ふぇっ!?あぁ!?あれ…その、』




変な声出して変な動きをするみょうじ。



なんか、三橋みてぇ




『あ、ありがとね…!
阿部が支えてくれなかったら私大怪我してたよ』

「支えたっつーか…俺からしたらみょうじが自分から飛び込んで来たみたいな感じだったから」

『と、飛び込んでないからね!?』

「わーってるよ、まァ怪我なくて良かった
ていうか体調は大丈夫なのかよ」





あの時みょうじの顔が赤かったのを思い出して尋ねる



『全然大丈夫!ぐっすり寝させてもらったしね』

「そういや3時間もサボって寝てたんだろ?」

『サボっ!?…まあ否定はできないけど…』

「みょうじ、頭ワリィのに大丈夫なのかよ」





そうだ、コイツは前のテストで三橋や田島と並ぶような点数を取っていたはずだ




『えーと、…それほ、まあアハハ』 

「ったく…
俺、古典以外なら教えれっからまた聞けよ」

『っ!!ほんとに!?』

「?お、おう」



なんだよ、勉強教えるって言っただけでこの反応は… 





「って、お前作文できたのか?」

『あ、今出来たよ!』

「じゃあ俺、職員室に置いてくっから待ってろよ」 

『あ、ありがとうっ!!
…待ってろよ…??』


みょうじの頭に"?"が浮かぶ


「ほら、今日雨で薄暗ぇし、
家まで送る」

『え、そ、そんな!悪いって!』

「そこは遠慮すんなよな
いいから待っとけ」


『あ、う、うん…』




 
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