短編

□おんぶ(水谷)
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『…文貴おんぶ』

「ぇえええ?」

『うそだよバカ』

「えー!なにそれっ」




文貴は「バカ」って言葉にですぐに反応する「バカ」だ。



『文貴のバーカ、バカ、カバ』

「そんなに馬鹿じゃないしー」

『自覚なしか…』

「なんか言った?」

『いやぁ、文貴は力ないからおんぶ出来ないかーって』





そう言って文貴の顔をチラッと見ると





ぷうっと頬を膨らましていた





「俺だっておんぶぐらいできるやい!」

『じゃあしてごらんよー!』

「いーよ!ほら!」





そう言って、しゃがんだ文貴の背中にエイっと飛び乗る



ヒョイッと立ち上がった文貴は





「どーだ!ちゃんとできるでしょー?」



と、得意そうに笑った




『うん、文貴はバカだね』

「うぇっ!?なんで!?」

『いけー!文貴はっしーーん!!』

「え?え?!」

『ほら、効果音はー?』

「えぇっと、…ガシーン!ガシーン!」





変な効果音と共に歩き出した文貴。



大きな背中をギュッと抱きしめた。





『…文貴は本当にバカだね』



「なんか言ったあ?ガシーン!」


『文貴だいすきよ』


「えへへぇ、俺も!名前すき〜」




 

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