短編

□カバン持ち(佐倉)
1ページ/1ページ





「名前センパイー!!!」


『ぐぁあああ!!??
死ぬ!!!ゲホッゴッホッ 「うわああああ!!!!スンマセン!!!!!」


『ゼェ…し、しし、死ぬかと思った…ゼェ』





このデカイ後輩。佐倉大地




なんか最近懐いてきてるんです…






今もこうして(本人は抱きついてるつもりなんだろうけど)急に絞め殺されそうになったわけです。








「オレ、力加減が分からなくてェ!!!
でも名前センパイに会えて嬉しくてついぃ!!!!」



『ちょっと(だいぶ)うるさい』






顔面蒼白になる大地






「ハァァッ!!ス、スンマセンッ!!!!!!
俺は先輩の事を考えれていなかったぁあ!!ウワアアア!!!
汚れた心をキレイにするにはどうすればっゥウウ!!!!」




『…あ、じゃあ、
今日の帰りカバン持ってくれる?』







パァアアという効果音が鳴りそうな勢いで大地は笑顔になった






「喜んで!!!!!」


『はーい、よろしく』






これはいつもの流れ



大地は心が汚れていると言ってすぐに泣く、というか泣き叫ぶ






そこで私が
「カバン持って」やら
「ジュース買って」やら



まあ、えっと、上手いこと使ってるってのは内緒で









「じゃあちゃんと待ってて欲しいっす!!!!!」


『分かった分かった待ってるよ』



「それじゃあ失礼するっす!!!」























ーーーーーー

部活後。



私がグラウンドの横で大地を待っていると、



ドドドッという音と共に巨人、いや大地が走ってきた






「名前センパイ!!!!!!

おまたせしてしまって…スミマセン!!!!」





もう半泣き…





『いや、いいよ、部活おつかれー』



「はぁあ!!!!
ありがとうございます!!!!!」



大地はそう言いながら私の手を握って振り回す




『痛い、痛い痛い!
落ち着け!!』


「っはぁっ!!!
スミマセン!!!!
…また俺は失礼なことを!!!ウググゥ!!!」




め、めんどくせぇ…




なんて言ったらまた泣くんだろうな





「あれ、苗字じゃん」


『お、イッチャン、おつかれーい』



「…その様子だと、また大地のこと上手く使ってんのな」





イッチャン苦笑い



『う、上手いこと?何の事かしら

大地が心を綺麗にしたいっていうからよ』




オホホっと作り笑いをして見せると、



イッチャンはまた苦笑い。




「そうっすよ!!!イッチャンセンパイ!!!
俺が頼んだんす!!!」




イッチャンの肩をガシッとつかむ大地





「お、おう、分かったから離せ」

「スンマセン!!!!!」

「めんどくせぇ」





イッチャン、心の声が漏れてる…







「じゃあ、俺帰るわ」

「おつかれっしたー!!!!」

『じゃーねー』






イッチャンと別れた私達は校門へ向かう。




「名前センパイ!!!
カバン持ちます!!!」


『あ、サンキュ』




大地は私からカバンを受け取ると

肩へヒョイ、とかけた





「いやぁ〜っ!!
今日は涼しいっすね!!センパイ!!」


『そーだねえ
でもなんか雨降りそうじゃん』


「そうっすか?
俺は雨降らないと思うっす!!!」



二人で空を見上げる



どう見ても降り出しそうなんだが…





『じゃあ駅につくまでに降らなかったらジュース奢ったげるよ』


「ま、マジっすかぁ!!!??
いや…でも申し訳ない…いやでもセンパイの心遣いが!!!!」


『ああああ、もー
まだ降るか分かんないじゃん』


「はっ!!!
それもそうっすね!!!」



パァっと笑顔になる大地





大地はほんとによく笑う奴だ




その分よく泣くけど











ーーーポツ…
  ーーーーポツ…



『…あ、降ってきた』



「っえぇぇ!?!?!?
センパイ、走るっすよ!!!!!」


『はい!?どこまで!?』


「どこって、駅っす!!!
濡れたら風邪引くっす!!!」


『いや、私走れない』


「な、なななんでっすか!!?」


『今日体育の時足ひねった』


「だ、大丈夫っすかぁぁ!!!!!」


『まあ、走れないからどっかで雨宿りし…「センパイ、乗ってくださいっす!!!!!!」



『え、え?』





目の前でしゃがんで後ろに両手を出している大地。





「おんぶするっす!!!!!」



『っはぁああ??
いいって!!』


「ダメっす!!!
乗ってくださいっす!!!!
早くしないと雨が強くなるっす!!!」


『いや、ほんといい!!』




「センパイ、失礼するッス」






その瞬間、私は大地の肩に担がれていた





『えっ!?
ちょ、降ろして!!!!』


「ダメっすよ!!!
センパイ、走るっすよ!!!」




『んぎゃぁああ!!!』





チョー速い


チョー速い!!!!!!









というかこの体制やばいんじゃない?




大地の顔の真横に私のお尻が…!!!






『だ、大地!!!!!!
1回ストップ!!!!
この体制やばい!!色々やばい!!』



「ええ!?
なんでっすか!?

…じゃあ」



『うわっ、ちょ!!!??』





顔を上げると目の前に大地の顔。







どうやらこれは



お姫様抱っこ、と言う奴だ








待って、こっちも色々やばい気が








でもなんか、こうされてると安心するというか、なんというか





















「名前センパイ!!!!!
着きました!!!!
本降りにならなくて良かったっすね!!!!!

…って、センパイ、真っ赤っす!!!!!
どうしたんすか!!!???」



『…!うるさい!見るなぁ!』


「ど、どどどうしたら…!!
俺何かしたっすか!?」



『大地のせい!!!!』


「はぁあっ!!!!
す、すんませんっす!!!!!!
セ、センパイを怒らせてしまった…!!!!俺はどうしたら…うわぁああっ!!!」



『…一生私のカバン持ってなさい』


「は、はい!!!!!
…って、一生って…どういうことっすか!!!??」


『ずっと一緒に帰ってずっとカバン持ちってことだよバカ大地!!!!』


「了解したっす!!!!!
一生付いて行くっす!!!!!」






このバカ、気付かんのか




さりげなく一緒に帰りたいって言ってんのにぃぃ…





『バカ大地』


「お、俺何か馬鹿なことしたっすかぁぁ!!!???
スミマセン!!!!」

























「タイサン、目の前で夫婦漫才見せられた俺達どうすればいいんですかね」


「イッチャン、これは、もう耐えるしかないよ」








 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ