短編

□バレンタイン(利央)
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『利央』




「ごめんなさい」









正座をする俺









その前に仁王立ちしている女の子








苗字名前、俺の彼女です

















『チョコ、何個?』



「な、何個でしたっけね〜」



『…』



「14個です」








上からギロリと睨まれる






可愛い顔台なし…怖いよー…












『で、直接受け取ったのは何個』



「4個…です」



『それ以外は』



「机の中、下駄箱…カバンの中」










はぁ、と上から聞こえる溜息







怒ってる、怒ってる、うぅぅ、














『…断ってよ』




「へ?」






弱々しい声に、上を見上げれば



名前の顔は暗くなっていた










『せめて、手渡しの4つは断ってほしかった』




「名前…」









俺、なんてことしちゃったんだろ



俺が断れなかったせいで




名前をこんなに悲しませた…
















『…私も

チョコ、作ったんだけど

いらないよね』



「な、何いってんの!!


いる!いる!ください!!」




『でもそこにいっぱいあるじゃん』





俺の横に置かれたチョコの山を指さす名前。
















「…俺、これ食べないよ!!」




『どうすんのよ』





「兄ちゃん、今家にいるから



兄ちゃんに全部あげる!!


俺、名前のチョコしか食べない!




だから…、その、



チョコください!!」








『フフっ…

仕方ない』










頭の上に


ポン、と何かが置かれた












『どうぞ』








頭の上からソレを取る













「…おいしそう!!!!」





『おいしいの!!』





「おいしい!!!!」






『まだ食べてないでしょ』






「家帰って大事に食べる!!!

これ、兄ちゃんには絶対見せない!!」






『フフっ、変なの』







俺はまだ正座したまま、名前からのチョコを握って名前を見上げた














「好きです」







『…知ってる』


















正座は辛いけど


名前からのチョコがとても幸せで







最高のバレンタイン。
































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その後、呂佳さん




「なんで俺の部屋にチョコの山があんだよ…」










 

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