story of 《L》
□GAZE
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竜崎の目はいつも何処か私ではない別のところを向いていて、いつもじっとそれを見つめている。
竜崎の目は、黒くてじっとりしていて、でも、見られたら最後。目をそむける事は出来ない一種の緊張感がうまれる。
「竜崎」
「あっ、名無しさんでしたか。なんです?」
「大学、休学されてるんですか?あ、あとケーキお持ち致しました」
「あぁ。大学の方は大丈夫です。適当に理由を付けました。あとはライトくんを講義中、不審な動きをしないかあなたが監視を引き続き続けて下さい。こちらとしては大いに動いて結構ですので。あぁ、あとケーキはホール状で大丈夫なんですけど」
「ですが、竜崎が居ないと上手くやっていく自信が…。」
言葉を詰まらせると竜崎は椅子ごと私の方へと向き直り、フォークを加えたまま口を開いた
「大丈夫です。不安になれば連絡をすればいい。ただし私は流河としてです。あなたは昔からやればできる子の分類ですから」
と最後にニッコリと笑い、私の頭へ手を伸ばし、ぽんぽんと撫でた。
物凄く子供扱いされている気分だったが、そんなのも別に悪くないと思う自分もいた。
しばらく撫でられた頭を自分の手で摩って竜崎の後ろ姿をみていた。
「?まだ用事でも?」
「い、いえ!!なんでも、ないです」
「そうでしたか。では、いってらっしゃい」
薄く笑う竜崎
毎朝私を大学へ行くのを
見送るのが日課のようになっていた
「いってきます」
イギリスにした頃の名残で
私は竜崎の右頬へキスを落とした
「何か困ったことがあれば、」
「流河のケータイに。わかってます」
「気をつけて」
「はい」
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