story of 《L》
□痣
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「なんなんだこれは!!!」
捜査本部として用意された
大きなビルの一角の
大きな部屋の真ん中で
事件は起こった
「どっ、どうしました!?竜崎!名無しさん!!」
「ど…どうもこうもありません、名無しさんの体中に小さな痣がっ…特にここ!首元!」
竜崎の珍しく大きな声に、捜査員一同は何事かと大広間へと集まって
あっという間に竜崎と名無しさんを囲む形で彼らを心配そうな眼差しで見つめていた
「あっ、あの、竜崎」
「なんということでしょう…、これは非常事態だ、この痣はなんなんでしょう…」
「りゅ、りゅうざ」
「わかりません、昨日の時点でこんな痣は無かったはずなのに」
「あっ、のっ…」
彼女の声も虚しく
好奇と心配の目線が
彼女の首元に注がれる
それだけで彼女は爆発しそうな辱めにあっているのに、それ以上の感情を彼女の中ではフツフツと湧き上がっていたのもまた事実
「竜崎!!!!!」
彼女の大きい声と共に竜崎は「え?」と言葉を漏らす前に彼女の強烈な平手打ちによって椅子から転がり床へと倒れていくところであった
「な、何するんですか」
「竜崎!この痣はっ…!」
そこまで言いかけて、周囲の目線がまた一層大きくなった気がして口をぐっと閉じてしまう
この痣は
この先は彼女は言おうとしない
いや、言えないのであった
昨日、竜崎から付けられた痣
キスマークだからである
行為の後は必ず、竜崎も無意識のうちにやっているらしく
それは鎖骨、骨盤、肩甲骨、踝…
至るところにあって
最近では服を着ても見えるところにするので、困っていたところであった
「な、こ、れはっ…ただ、の、虫刺されです…」
「なんだ、…待ってください、じゃあ私を殴った意味は…」
「あなたが話を聞かないから…」
「すみません」
ケロッとした表情でまたディスク前へと戻る竜崎、そしてなんだなんだと面白いことが無かった野次馬達は自分の持ち場へと帰っていった
ただひとりを除いて
「…ライトくん」
「本当は?」
「え?」
「本当は竜崎に付けられたんですよね?」
私より1つ年下なのに
私より何もかも、全てが勝っている
夜神月は、ニッコリ微笑んだ
「意外です、名無しさんさんって案外大胆なんですね」
「違うわよ…、誤解しないでライトくん、私はやめてっていってるの」
「本当は?」
「本当よ!」
「そうですか笑」
ライトくんにもバカにされた
言ってやらなくては
竜崎にも