小説

□悪い夢
1ページ/4ページ

船の中、自室で俺は目眩に襲われた。


突然のことだった。


その日から、頭痛や咳もひどくなっていった。



燃える街、死にゆく仲間…

見覚えのある景色だった。

俺を一人逃がして死んだ奴ら、旧鬼兵隊だ…。

『抜け道はあそこです』『貴方は生きてください』『さあ、早く…!』

まだ…死ぬ訳にはいかないんだ。






「お前はいつも無理しすぎなんだよ」

景色が重なった。

江戸が火の海に…いや、火の海にした。

城を包囲し、仲間を散らし、戦った。

あいつらの無念を…仇を…とろうとした。




「一人でカッコつけやがって…病人なら病人らしく寝てろってんだ」

「銀…時…?」

いつの間にか気を失っていたらしい、目の前には銀髪頭。

今すぐ刀をとって切り伏せたいのに…体が動かない。

息も浅い。

「火はいずれ消える、幕府はお前を捜してる。捕まったら簡単には死ねねーぞ」

いつまでもウザったらしい奴だ…。

でも今は…
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ