小説
□悪い夢
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船の中、自室で俺は目眩に襲われた。
突然のことだった。
その日から、頭痛や咳もひどくなっていった。
燃える街、死にゆく仲間…
見覚えのある景色だった。
俺を一人逃がして死んだ奴ら、旧鬼兵隊だ…。
『抜け道はあそこです』『貴方は生きてください』『さあ、早く…!』
まだ…死ぬ訳にはいかないんだ。
「お前はいつも無理しすぎなんだよ」
景色が重なった。
江戸が火の海に…いや、火の海にした。
城を包囲し、仲間を散らし、戦った。
あいつらの無念を…仇を…とろうとした。
「一人でカッコつけやがって…病人なら病人らしく寝てろってんだ」
「銀…時…?」
いつの間にか気を失っていたらしい、目の前には銀髪頭。
今すぐ刀をとって切り伏せたいのに…体が動かない。
息も浅い。
「火はいずれ消える、幕府はお前を捜してる。捕まったら簡単には死ねねーぞ」
いつまでもウザったらしい奴だ…。
でも今は…