小説

□ペット
1ページ/1ページ

万事屋に来た高杉。

そいつのお腹が今日は膨らんでいた。

しかも何か動いてる。

「何そのお腹」

「何でもねぇ…」

『ニャー』

「「…...」」

確かに聞こえた明らかに人間の声ではないもの。

「ねぇ、さっきの鳴き声」

「な…にゃんの事だ?」

「違うでしょ?お腹、見せてみ」

「嫌だ。やめろ変態」

「ハイハイ、じゃー黙って見せましょーねー」

ガバッと高杉の着物の袂を開く。

そこには思い通りの黒猫…。

いや、確かに黒猫だったが…。

『ニャー』

十年前、両目のある時代の高杉に猫耳、尻尾が生えていてしかも小さくなった姿があった。

「…...!!!!」

「銀時…」

「あーーうん、家入って。鼻血拭きたいし…」

「うん…」

うんってお前、可愛すぎだろと思っていたらもう片方の鼻からも血が流れた。

今日は厄介な事と最高なことが一気に来た気がする。



『ニャーン』

五枚目のティッシュを変えて、高杉と向き合う。

あの黒猫は今は定春と遊んでいる。

「いつ見つけた?」

「朝起きたら、俺の上で寝てた」

「ふーん、でー何で連れてきた癖に隠そうとしたの?」

「それは…相談しようとしたはいいけど…...よく考えれば俺だし…こんな姿見せるのは恥ずかしかった…」

ティッシュが足りねぇ!!!

買い置きあるか!?

今日新八に頼まねーと…。

「何で俺の所にいたのか分からねーんだ」

「あぁ、本題それだったね。ゴメン忘れてた」

「ふざけんな!」

「お前が可愛過ぎるんだよ!!…取り敢えず、ヅラと坂本に聞いてみっからよ」

赤面した高杉…はわなわな震えていた。

「あいつの事…喋んのか…?」

ティッシュが尽きた。買わねーとな。

「喋んないと解決しねーぞ?坂本の酒って可能性もあるだろ?」

「坂本から酒は貰ってねぇ…」

「…ヅラは?」

「……」

「……」

「……!!」

「ヅラァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

「待て!よく聞け銀時!あいつは俺に団子をくれただけだ!」

「いやそれ…絶対原因だろーがァァァァァァ!!ヅラ覚悟しろゴルァ!!」

「ヅラじゃない桂だ!!」

「いたのか貴様ァァァァァァ!!」


〜回想〜

「ヅラ…?何の用だ」

「いや実はな、旨い団子があってお前にも食べてほしくて」

「んなの銀時にやればいいじゃねぇか。甘党だし」

「そんなラブラブは自慢するもんじゃありません!それに俺はお前が気に入るかもと思って来たんだ。黙って受け取れ」

「……あぁ…?」

回想おわり


「ヅラァ…明らかに…それじゃねぇかァァァァァァ!!」

「ダメか!?ダメだったか銀時!こんなに可愛く小さく可憐な高杉をこの目で見れたというのに!ダメか!!?」

「うっ…だ…ダメだ!!この晋ちゃんもこっちの晋ちゃんも俺のだし!!!プレゼントも猫耳の晋ちゃんも全部俺のだし!!」

「ぐわあああああああ!!バカップルを見せつけるな!!せめて死ぬ前に猫杉のほっぺをプニプニさせくれェェェェェェ」

…2人が殺気を感じ取ったのは同時だった。

数分後万事屋に、幸せそうな…しかし悔しげな表情の死体が2つ転がっていた。

「銀さん、ティッシュ買ってきま…またかよ…」

高杉は既に船へ向かっていた。

猫杉をその腕に抱えて。



おわり

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ