小説

□そんな時もあるよね
1ページ/1ページ

今は夜の11時半頃。

リビングで2人でダラダラしている。

俺はテレビを見ているが高杉は自分のケータイでゲームをしている。

まあ春休みだし…そんな日もあっていいかなーとは思うが…。

明日はきちんと課題やろうな。

「銀八…」

いきなり話しかけてくる高杉。

顔は、こちらに向いていない。

「俺、今日寝たくねぇ」

「ん?何で?」

「何かそんな気分だから」

そんな事言われてもいきなり過ぎて困ります。

とか思っていたら高杉はいつの間にか俺の右腕に。

「なぁ、俺ずーっとこうしてたい」

「本当どうしたの?頭打った?」

「どうでもいいだろ…?なんか安心出来ねぇ…」

情緒不安定?

ほんっとにいきなり甘えて…ネコ科か何かですか?

「銀八…嫌なのか?」

「…」

「嫌…か」

そんな顔で言われたら…。

早くしねぇと高杉が離れちまう。

その前に俺は高杉を抱き寄せる。

「大丈夫、安心出来るまでこうしてやるから」

「銀八…」

腕の中、上目遣いで見つめてくる。

「とりあえず、ベッド行こうか…これで寝よう?」

「…嫌だ」

「風邪ひくぞ?それにずっとこうしててやっから、とにかく来い」

「…わかった」

「よろしい」

ベッドの中、電気も消さずに俺と高杉は抱き合った。

高杉は俺にずっと擦り寄る。

まるで、温もりを確かめる様に。

(本当に猫みたいな奴)

そう思ったがコイツには内緒。

「銀八…」

「ん?」

「ずっと俺から離れんなよ?」

「…ああ」

何度目かの、小さな約束を交わした。

まだ起きている高杉の額に、軽くキスをした。


おわり

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ