小説
□君と生きていくこと
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それは恋文を書くような擽ったい気分。
または素直な気持ちになれない煩わしい気分。
本当はこの笑顔を誰にも見せたくないんだけどな。
「何て顔してんだ?糖尿酷くなったのか?」
いつの間にか目の前に来ていたらしい。
俺の幼なじみで、………
「(幼なじみで、何なんだ?)」
何を続けようとしたのか、アレ?
愛おしい、恋人の、最愛の、大好きな、俺の半身……?
「銀時ィ、風邪でも引いたか?いつも以上におかしいぞ」
「いつもおかしいみたいに言うな」
「あぁ、やっとこっちを見た」
安心したように笑う高杉。
うん、俺はこの顔を見るためにお前を護ったんだ。
「なぁ、たまには隣座れよな」
「はぁ?やっぱりおかしいな、今更何言い出すんだ…」
そう言いながらも素直に座ってくれる。
お前の守った世界、俺が護ったお前。
そんな中で生きている俺たち。
「なぁ高杉、今日も俺の知り合いに会いに行かねぇか?」
「お前の知り合いは多すぎるな…まだ名前を覚えてねぇ奴が大勢だ」
「そんな見た目して律儀なのねお前…」
今度は世界がお前を守るから。
俺もお前も沢山苦しんだから。
笑って、幸せになって、涙を流したっていいんだ。
これからも2人で、この世界で生きていこう。