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□私の恋愛白書 1
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ピピピピピピピピピピ
アラーム音が鳴り響く。

重たい瞼をおしあげて、
手探りで目覚ましを探し当て、
停止のスイッチを押してから、
毛布に潜り込み、瞼を閉じる。
毛布の暖かい温もりに、
また、ウトウトとしていると、
バッと毛布が私の上から一気に
剥がされ、身体が感じるのは
冷たい冷気。


「おい、こら。
いつまでねてやがんだ。香奈。」

ドスの効いた声が聞こえ、
瞼を開ければ仁王立ちをした
兄の姿があった。
げっ!!っと心の中で思いつつも
身体が言うことを聞かない。

「んー、、あとちょっと。」

そーいって、布団を
身体にまきつけて、寝ようとすれば
再び布団をはがされる。


「起こしてーっていったのは、
香奈だろ。起きろっつーの。
あと、お前さ、もっと色気のある下着
きろよ。なにそれ。
クマぱんつ。だっさ。」


桐斗兄さんの発言にハッとなり
自分の格好をみてみれば、
寝巻きのショートパンツが
めくれ上がり丁度下着がみえていて、
クマさんの顔がこんにちわしていた。




「きゃぁぁぁぁぁぁあ。」




私の恋愛白書




朝から実の兄に
下着をバッチリとみられ、
しかも強烈にダメ出しされ、
ダサっと心に突き刺さった。
もぐもぐとご飯を食べながら
目の前に座ってコーヒーを
優雅に飲んでいる兄をジト目で見る。


私の兄。
結城桐斗。
洛山大学4年生。
バスケ部所属。
現在は洛山の寮に入っていて
1人暮らしをしているのだが、
ちょいちょい気付いたら実家に
居座っている。
よく、大学生版の月バスの表紙に
兄が載っているのをみる。
世間からはバスケ界の王子様と
言われ、爽やかなイメージが
あるのだろーが、実際は、
この通り。
ドエス野郎なのである。
ドエス野郎の被害者は
主に私なのだからたまったもんじゃない。


「あ、姉貴、起きたんだ。
おはよー。」

台所の方からヒョコッと
顔を出してくてくとこちらに
歩いてきて、私の隣へと
腰を下ろす。


「はい、姉貴。」

そう言って私の目の前に
マグカップをおく。

「あたし、ブラックコーヒー
無理だよ!!健斗。」

そういえば、
ムッとした顔をされた。


「それくらいわかってるっつーの。
姉貴の大丈夫の、カフェオレにした。」


はぁ、なんと出来た弟なんでしょうか。
私の隣に座る彼は弟の
結城健斗。
今年の春。4月から
バスケで有名な桐皇学園高校に
進学する。
桐皇学園高校は、東京にあるのだが、
健斗は、寮に入ることになった。
通学に中々時間がかかるし
桐皇のバスケ練習は、半端じゃないためだ。
もう引っ越し作業は終わっており
もう少ししたら弟もこの家を出て行く。


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