long

□私の恋愛白書 5
1ページ/3ページ



入学式も無事に終わり
次の日になれば、
上級生達は何をし始めるか。
もちろん、部活勧誘である。
部活の繁栄、存続をかけ、
よい人材を確保するため
部活勧誘でいかに
新入生に興味を持ってもらうか
というのが重要になってくる。
たとえば、掛け声とか。



誠凛とローマ字で書かれた
ジャージを羽織い、
首にはチア部とでかでかと
書かれたプラカードをぶら下げ、
桜がチラチラと舞う中、
メガホンを片手に口を開く。




「チア部いかがですかー。
チア部に入ったら、
もれなく、毎日、
誠凛でおそらく、1番若くイケメン
鈴木啓太先生を毎日のように
拝めますよー。拝み放題です。
どうですかー。」



美樹は、部活勧誘の窓口で
新入生に入部届けを書いてもらい、
受け取る係なので、周りに回って
私はまさかの呼び込みになった。
何を言えとか特に指示されていなかったので、
チア部の誰も見ていないだろうと
思い、ゆるーく声かけをしていると、
いきなり、肩に重みをかんじ、
振り返れば、口元をヒクヒクと
引きつらせている、啓太くんの姿があった。


「おい、こら、、。
お前は何、意味わかんない
宣伝してんだ。おい。」



「あ、、、やべっ。」


まさかの本人登場に
思わず心の声が漏れて、
やべぇとつぶやけば、
言うまでもなく、無言で
チア部と書かれたテントまで
連行された。
これも、見慣れた光景に
なりつつある。







私の恋愛白書 5




「七瀬!!七瀬!!
なんで、結城が、
呼び込み担当になってんだ!!
こいつ、とんでもない呼び込み
してたぞ。」


チア部の監督、啓太くんが、
チア部と書かれたテントに
ズカズカとはいっていって、
キャプテンである美樹に詰め寄った。


「監督、私はそれどころじゃ
ないんですよ。
新入生の入部届けを回収しなくちゃ
いけないんです。
クレームは後で受け付けますし、
香奈が、責任とるんで、
呼び込みに連れてってください。
香奈がここにいたら、
いたで、混乱起きるんで。」


チア部の入部届け窓口には
すでに列ができていて、
バタバタと部員が慌ただしいように
動いていた。


「え、美樹、私、手伝うよ。
さばききれてないでしょ。」


さすがに、心配になり、
呼び込みをしている場合
じゃないなと判断した私は
席について、入部届けの紙に
手を伸ばした。


「香奈、
あんたは、いいから、
呼び込みしてこいっつーの。
はい、これ、チア部のビラ。
これなくなるまで帰ってこなくて
大丈夫だから。
こっちは、私達に任せて!!」


「はい、、、、。」


美樹のあまりの圧と、
任せろと言ういい笑顔に
再び看板を首にかけ、
ビラを受け取り席をたった。
メガホンとビラを持ちながら
プラプラと歩きながら
周りを見渡せば、
やはり、どこの部活も
新入生に興味を持ってもらおうと
ビラを配ったり、声かけしていた。
手にしていた、チア部のビラに
目を通す。

「昨年度、全国大会2位、
今年は全国大会1位目指します‼︎
初心者も大歓迎、
高校生活、私達と青春してみませんか!?
マネージャーも大募集中!!
イケメンの顧問に可愛い女の子
たくさんいます!!」

イケメン顧問ねぇ、、、。
まぁ、啓太くんは、
イケメンだと思う。
目つき悪いけど、私の扱い雑だけど。



「あ、、結城ちゃんじゃん!!」



「あ!コガちゃん!!と、
水戸部くーん!!!」


声を掛けられて、そちらに向けば、
バスケ部と書かれた看板を
持っているコガちゃんと、水戸部くんがいた。


「結城ちゃんも、
呼び込み係?!
珍しいね、、七瀬とか、
鈴木先生とか明らか、
止めそうなのに!!」


「ねぇ、コガちゃん、
それどういう意味⁉︎
いや、わりと、チア部のテント、
賑わってたから手伝おうと
したんだけど、美樹に追い出されたの。
この、ビラを配り終わるまで
帰ってくるなって。」



「あー、、、
まぁ、結城ちゃんが、
テントにいたら、
人だかりができて、大変だとか
そーゆー理由じゃないかな。」



「え、なにそれ。
コガちゃん、どーゆー意味!?
ビラみてよ!この量。
尋常じゃないんだけど。」


ビラを見せながら
2人に訴えていると、水戸部くんが、
心配そうな顔をしながら、
私の頭をポンポンと撫でてきた。
水戸部くん、、優しい、、。
そのまま、水戸部くんの肩に
トンと頭を預ければ、
コガちゃんに慌てて引き離された。



「結城ちゃん、
それは、やばい。
この状況を木吉とか、日向とか
うちの監督がみたら、どうなるか!!
とくに、木吉!!」


「邪魔しないでよ!!コガちゃん。
水戸部くん、優しすぎて、つらい。
お母さん、水戸部くんを、
私にください。」


そう、コガちゃんに一礼すれば、


「誰がお母さんだ!!
水戸部は、あげないよ!!
大事な友達だから。」


水戸部くんの前に立ちはだかり
上げないぞという顔をされた。



「やだー。
水戸部くんがいい!!
こんな優しい人私の周りに
いないー!!」


水戸部くんの腕を軽く掴むと
にこにこと笑顔を向けられた。
水戸部くんまじ天使。


→ next
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ