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□笠松さん家のお姉さん
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笠松幸男
海常高校3年、
バスケ部主将。


「ゆーきーちゃーん。」


俺のことをこう呼ぶのは
こいつしかいない。
ゆきちゃんとか、
高校3年生にもなって、
恥ずかしいし、実際のところ
やめてほしいのだが、
そんなことすら言えない俺は
だいぶ甘ちゃんなんだと思う。
ゆきちゃん、
俺のことを唯一、そう呼ぶ彼女は、
正真正銘、俺の姉だ。




笠松さん家のお姉さん



「ゆきちゃん、おはよー。」


リビングで朝ごはんを
食べていると姉貴が
階段をとてとてと降りてくる
ところだった。
笠松香奈。23才
社会人1年目だ。


「姉貴、なんで家にいんの?」


「あー、ひどーい、
ゆきちゃん。
お姉ちゃんがお家にいたら
だめだってか?!」


俺の肩にぐでーっと、
乗っかり体重をかけてくる姉貴。


「べ、べ、べつに、
そ、そ、そんなこと言ってないだろ。」


肩に感じる姉の体温に
グーンと体温が上がるのを
感じる。


「はいはい、
ゆきちゃんは、お姉ちゃんのことが
大好きだもんねー。」


姉貴はそう言って
台所の方にテトテトと
歩いて行った。


さすがの女の子苦手の俺も
実の姉とは喋れる。
ああ、触られなければな。
姉貴は俺の女の子苦手を
ちゃんと分かってないのか、
スキンシップが激しいから
家でも俺の心は落ち着けないのだ。
まぁ、逆に、ちゃんと
俺の女の子苦手を姉貴が
分かってたとしたら
それは、それで、
「ゆきちゃーん、
お姉ちゃんが特訓してあげる。」
とか言って、余計に
俺の心が休まらなそうだから
このままでいいと思う。


「いってきまーす。」


家を出て、歩いて海常高校に
向かう。
いつものように、
朝練をして、汗を流し
朝練が終われば、
ロッカーから制服をだし、
制服に着替える。


「あ、笠松、なんか、
ポケットから落ちたぞ。
ん、、なんだこれ、、」


森山の声が聞こえて、
振りかえれば、
水色のストライプの入った
シュシュを森山の手が手にしていた。


「こ、これ、、って、、
あ、明らか女物じゃねぇか!!
か、笠松、どういうことだ。
え??俺を差し置いて、
可愛い女子といちゃこらしてんのか?!!
笠松のばかやろー。」



シュシュを高々と抱えながら
騒ぎ出す森山。
おい、あのシュシュ、完全に姉貴のだろうが。
なんで、俺の制服のポケットなんかに
入ってるんだよ。
森山の声に次々と反応していく
チームメイト達。


「嘘だろ、、、、。
あの女嫌いな笠松が、、。」


絶句している小堀。
その隣で何を言っているのか
分からないが早川が叫んでいた。



「かーさーまーつーせーんぱーい
先輩に彼女って、本当なんすか?
笠松先輩の彼女、俺が見極めてあげるっすよ。」


極めつけは、うちのエースの
1年坊だ。
俺は取りあえず、
森山の手にしてるシュシュを奪い
黄瀬に飛び蹴りをくらわせた。



「お前ら、うるせぇ。
俺に彼女なんていねぇ。安心しろ。
それと、黄瀬、見極めてやるだぁ?
随分、偉くなったじゃねぇか。
おい、面かせ。」



「か、笠松センパイ
落ち着いてぇぇぇぇぇ。」


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