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□私の恋愛白書 4
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「言うタイミングがなかったと
言うかなんと言うか。」



机から少し顔を上げながら
そう言えば、日向に
雑誌に写っている兄の写真と
私の顔を交互に見比べられた。



「でも、そんな、、
似てねえな。」



しみじみとそう言う日向。
すいません、それって
どういう意味なんでしょうか。




「弟の話はするくせにねー。
健斗くん元気?」



「元気。
もう実家出て寮だからさ、、。
寂しすぎる、、。」


健斗はよくリコのところの
ジムに通っていたため
仲が良いのだ。
日向、リコ、私で椅子に座りながら
いつものようにだべっていると


「2年Aクラス結城香奈。
至急、体育館にきなさい。
はやく。以上。」


いきなりの校内放送に
驚いていると、
どこからともなく、
チア部部長の七瀬美樹が、
クラスに駆け込んできた。


「ちょっと、香奈。
今日、新入生の入学式で
あたし達、チア部、
パフォーマンスするって、
言ったでしょーが。
あんた、なにやってんの。」


美樹の言葉に絶句する。


「ちょいまち。
え?嘘。」


そんな言葉を口にすれば
美樹に頭を軽く叩かれ、
誠凛とローマ字で描かれた
チアのユニフォームを投げられた。


「はやくそれに着替えて。
あんた、うちのエースなんだから。」


美樹の迫力に圧倒されながらも
頷いて、トイレに駆け込み
チアのユニフォームに着替えた。



誠凛高校。チア部。
部長の七瀬美樹をはじめ、
結城香奈を中心に
去年、新設校であるにもかかわらず、
全国2位の座を手にした。
惜しくも2位であったため、
今年は全国1位の座を狙う。
チア部の監督っていうのが、
あたしの目の前にいるこの男。


「結城。
お前さー、話したじゃん。俺。
話したよね?
入学式でパフォーマンスあるって。
新学期だからって寝ぼけてんのか。」



「いいえ!
話してません。
耳に入ってません。
ってゆーか、なんで、
入学式でパフォーマンス?!
明日、部活勧誘あるじゃないですか!!」


「耳に入ってませんってなんだよ。
それ、絶対、俺の話
聞き流してた奴じゃん。
俺の話きいてよ!!
だから、お前らチア部は、
去年、全国2位を勝ち取っただろ。
それは、我が校にとって、
誇り高いことであってだな。
是非とも、我が校の誇りを
入学式でも新入生にみせてあげたい
という、校長の意向でな。」


長々と話し始める監督を
尻目に言葉を挟む。

「聞いてますよ!啓太くん!!」


「お前、ほんと、ぶっ殺すよ?
その名前で呼ぶな。
部活中は、監督って言え。
香奈。」


体育館にて、
現在、正座をさせられ、説教中。


「監督、そろそろ正座止めさせないと
この子、多分足ガクガクになって
飛べなくなります。」


美樹が呆れたようにそういえば、
監督も諦めたように
正座を止めさせてくれた。
鈴木啓太先生。
通称、啓太くん。年齢、24歳。
チア部の顧問兼監督である。
桐斗兄の先輩で洛山大学を卒業後、
新任で誠凛高校に配属され、
新任1年目にして、
チア部を全国2位まで押し上げた
立役者である。
ちなみに、専科は、体育。


「七瀬、あれ、怪我こえーから
ほどほどでいいわ。
明日も、部活勧誘で飛ぶだろ。」

美樹に耳打ちをする啓太くん、
そして、啓太くんの言葉に
うなづく美樹。



「そんなヘマしないです!
今日も結城、飛んできます!」



「おい、こら。
どたまぶち抜くぞ。
七瀬、こいつ、どうにかしろ。」


啓太くんに首根っこを
掴まれたまま、
美樹の方に差し出される。


「監督、嫌ですよ。
私、毎回、お世話大変なんですから。」


眉間にしわを寄せながら
頭に手を持っていく美樹。
それをみて、啓太くんは遠い目をした。


「七瀬、、ほんと、、
お疲れ様、、。」


ポンと労わるように美樹の肩を
叩くもんだから、キッと啓太くんを
睨んで、



「え、あたしも、お疲れです!
啓太くん!!」



そう言ってやれば、




「原因、お前だ!!
だ!か!ら!
その名前で呼ぶな!
おい、香奈。
お前、ほどほどにしなかったら
どうなるか分かってんだろうな。」


バキボキと指を鳴らす啓太くんに、
部員達はビクッと肩を震わせる。
あぁ、これは、怒る。
さっと一瞬にして理解した
私は一言こう言うのだ。



「りょーかい。監督。」


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