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□番外編 モブB君の考察
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「おい、木吉!!
結城を膝にのせてんじゃねーよ。
監督が、日程調整したいって、
呼んでたぞ。来い。」



ちょうど良く、
バスケ部キャプテンの日向くんが
現れて、そう怒鳴っている。


「そーなのか、、。
じゃあ、香奈、ちょっと行ってくるな。
俺が行っている間、
ちゃんと教室にいるんだぞー。
知らない人に話しかけられても、
ついていくなよ。」



「もー、あたし、
小学生じゃないからねー。
いつも、木吉、そういうけど。」


少しムッとして口を尖らせる
結城さんの頭を
優しくぽんぽんと撫でた。



木吉がいなくなった後、
結城さんは、
同じクラスの女子達と楽しそうに
お喋りをしていましたが、
木吉がいないのをいいことに、
他のクラスの男子達が結城さんに声をかけた。


「あ、あの、結城さん、
ちょっと、お話があるので、
来てくれますか?」


男子が声をかけると
まわりにいた女子達が、
「ちょっと、結城さんに、
なんの用?!」
「ここで喋って。」
とか、言っていましたが、
結城さんは、フワリと笑って、
その男子について行こうとしました。


「あ、ありがとう。
じゃあ、こっちです。」


その男子が結城さんと
一緒に教室から廊下に出ようと
しました。


「香奈になんの用だ?
俺も混ぜてくれよ。」



気付けば、結城さんの隣には
木吉がいて、
いつものように緩い声だけど、
目は笑っていなかった。


「香奈、俺が席外してる間、
知らない人に声掛けられても、
ついて行ったらだめっていっただろー。」


結城さんの後ろから
ぎゅーと抱きしめる木吉。
さすがに、マズイと思ったのか
呼び出そうとしていた男子は
走っていなくなった。


「あ、行っちゃった、、。
なんだったんだろー。
用事あるみたいな感じだったからさ。」


「あー、香奈は、
気にしなくていいぞ!!
まぁ、聞かなくてもだいたい分かるし」


そっと、結城さんの手をひいて、
教室の中に入った。
こんな感じで、
結城さんと話そうと
するものなら、
どこからともなく現れて
まったく話せないのだ。
話せないのなら、
手紙で告白しようと、
結城さんの下駄箱に
手紙をいれている人もいましたが、
結城さんが、下駄箱を
見る前に、セコム共が回収
してしまうので、
まったくもって意味がないのだ。



今日も僕らは
木吉と結城さんを、
横目で見ることしかできない。



(彼女のまわりの強敵達)



僕ら、モブにとって、
彼女は高嶺の花なのだ。


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