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□とあるマジバの店員A
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それから、
あたしは、そっとキッチンに戻り、
ガングロくんがダメにしてしまった
品物をもち店長の元へと
駆け寄った。



「店長ー!!ごめんなさぃぃぃ。
足がこんがらがって、落下した。」


「えー!!なにしてんのー!!
香奈ちゃん!!
え?ハンバーガー多くね?」


「ミスっちゃった。てへ。」


「まったく、可愛くない。
あれね、香奈ちゃん、
今日、倉庫整理ね。」


ゴリゴリとこめかみを拳でやられ、
まじ店長、容赦ないと思いながらも、
ガングロくんが新しいのたべれて
よかったなーとホッとして、
にやにやしていたら、
反省してる?と店長に怒られた。


次の日、
マジバのバイトにきて、
フロアに立って
テーブルの掃除をしていて、
視線を感じそちらに振り向けば、
青色の髪に、黒い肌、
それに、怖い顔。
ガングロくんがいて、
こちらをみていた。
え、なんでいるの?
そんなことを考えながら
ポーッとしていると
いきなりガングロくんに腕を掴まれて
マジバの外まで連れてかれた。
いきなりことすぎて、
ついていくしかなかった私だが、
外まで来て腕を離され、
ガングロくんとむきあう。
え、なんなんだろう。
怖い怖い。
恐喝?ボコボコにされるの?
あぁ、お母さん、お父さん
香奈は、強く生きていきます。
たとえ、ボコされても。



「あの、、よ。
俺の変えたの、あんた、
自分のせいにして怒られてただろ。」


ギュッと目を瞑った目を開いたら
少し眉を下げて話す彼の姿。
ん、、あれ、これは、、
ボコられない。
ふうと一息をつく。



「その、、ありがとうな。」


「ど、ど、どう致しまして。」


ニカっと笑った彼の顔が
少し輝いて見えて
どもってこたえれば、
笑われた。


「あんた、いい奴だな。
俺、金持ってなかったから
助かったわ。」


「それは、良かったです。
またお待ちしてますね。」


にこりと笑って、
そろそろ仕事をしないと、
店長に怒られそうなので、
店の中に戻ろうとする。


「おい。」

ドスのきいた声に
ビクリと振り返る。


「あんた、名前は?」


「あ、結城です。」


「下の名前は?」


「香奈です。」


彼の肩越しに店長と
まさかの目が合ってしまい、
焦って私が店の中にもどろうとする。



「また来るわ。香奈。」


ガングロくんは、
そう言うと陽気そうに
帰っていた。
これが、ガングロくんと
私の出会いで、
それからは、頻繁に
通ってくれている。


ガングロくんは、
青峰くんと言って、
桐皇学園高校の1年生らしい。
今の高校は、こんなに
大きくて大人びてみえる
のかと驚いた。
私のがだいぶ年上なのに
青峰くんは、香奈と
呼び捨てにするので、
その度に、私が指摘するのは
いつものお決まりになってきていた。



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