青春賛歌

□制服魔力
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「あ、御幸」


休み時間の廊下。
同世代より少しだけ高めの声に呼ばれ振り返った…は良いものの、立っていたソレに御幸はフリーズする。


「何て格好してんだ、お前は」

「文化祭で中学の制服着て喫茶店やる事になったから試着」

「お前のな訳?」

「んな訳あるか。着せられたんだよ」

似合うだろう?と胸を張る晃が着ているのは、紺色のセーラー服。
上には大きめのカーディガンを羽織り、指先しか見えない且つ裾から見えるスカートも短く、女子が歯ぎしりする程のスラリと綺麗な長い足が惜しげも無く晒されている。
しかも、薄っすら化粧もされているようで美少女顔が更に美少女になっている。
廊下に居合わせた生徒達の視線をビシビシと感じながら、御幸は額を押さえた。


「お前まさか文化祭でもそれ着んの?」

「さあ?もっと色んな種類あったから、女子達が会議開いてた」


ブレザーとかワンピースとかとあっけらかんと続ける晃に御幸は「全部女物だろ」というツッコ込みをする事を放棄した。


「いや、でもセーラー服って良いよな。俺の中学ブレザーだったからさ」

「着てるのがお前じゃなかったらもっと良かったけどな」

「何だ。似合うだろうが」

「それは認める」

「御幸のくせに生意気だ」


唇を尖らせて眼鏡を取ろうとする手を片手で捕まえて、もう片方で頬を挟む。


「ホントにお前じゃなかったら…」

「良し、その喧嘩買おう」


そのつもりは毛頭ないが、御幸も整った容姿をしているためはたから見ると美男美女カップルがいちゃついているようにしか見えない事に、本人達だけ気付いていなかった。



制服魔力





(ヒャハハ。御幸、楢橋。こんな画像が出回ってるぞ。何だこれ。付き合いたてのカップルかよ)
((は?))

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