青春賛歌
□対策はお早めに
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「良いか?楢橋ちゃん」
「帽子はぜってえ取るんじゃねえぞ?」
「眼鏡もね」
「ハーフパンツも禁止だ」
「と言うか肌を出すな」
「はーい…」
「何やってんですか?アレ」
一見カツアゲにも見えなくない程迫力の3年中心メンバーに囲まれている晃に、沢村、降谷、小湊の1年1軍メンバーが首を傾げた。
それに沢村に問われた倉持が「あぁ」とどこか面倒臭そうに声を上げる。
「対外対策だ」
「対外対策?」
「楢橋は中身はアレでも、外見はあの通りだからな」
「はあ…?」
「だいぶ前にやった練習試合ん時、相手の部員が楢橋に惚れてな。しかもかなり強引な奴で、結果場外乱闘が勃発しかけたんだよ」
「ええ⁉︎」
その結果アレだ、と倉持が示すのは帽子を目深に被り、伊達眼鏡を掛け、上下長袖ジャージを着込んでいる晃の姿。
「でも、素顔が晒された時の爆発力が余計増しませんか?」
「痛いトコ突くな、小湊」
「隠すの勿体ないですね」
「降谷、今はそういう問題じゃねえんだよ」
対策はお早めに
(眼鏡邪魔。良く眼鏡して練習試合出来るね、御幸は)
(慣れだ、慣れ)