cherryblossoms & strawberry
□よろしくと手を取った
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「倉持くんさあ」
「何だよ」
「御幸ちゃんって運動神経全て野球に注いじゃったの?」
「……そうなんじゃねえか?」
私と倉持くんの目線の先には、サッカーのドリブルをしてたかと思えば、次の瞬間見事にひっくり返った御幸ちゃんの姿があった。
「それでも御幸ちゃんの魅力は変わらないのです」
「は?」
「ん?周りの御幸ちゃんスキーの女子達の気持ちを代弁してみた」
部活では抜群に格好いいのに、普段はちょっと抜けてて可愛くて、そこが堪らない!…んだそうだ。
「恋は盲目ってやつか?」
「相手を見る全てに乙女の桃色フィルターが掛かるんだよ」
「あいつの性格の悪さまでカバー出来るなんてスゲェ高性能だな」
「多分、御幸ちゃんの性格まで完璧に把握はしてないんじゃない?だって、御幸ちゃんって教室では倉持くんと私くらいとしか話さないし」
「友達いねえからな」
「それは私と倉持くんも言われてるから」
「知るか」
「良し、友達になろう、倉持くん。これで友達がいないなんてレッテルおさらばだよ」
「断る」
「うわー、傷付いた」
あははと笑いながら言うと、膝裏に倉持くん自慢のキックが手加減されてお見舞いされた。
「じゃあ、俺と友達になってよ」
突然後ろから声が聞こえたかと思うと、顎の下に手を当てられ、グイと持ち上げられる。
目に映ったのは青空ではなく、御幸ちゃんのドアップ。
「友達になろ、矢代ちゃん」
うん、御幸ちゃんは逆さまから見てもイケメンで。ご馳走さまです。
というか、私のドアップは耐えられるのだろうか?
「まずはお友達からスタートですか?御幸ちゃん」
「清いお付き合いしようじゃないの」
「ええ、喜んで」
ニヤリ。
お互いにそう笑った私達に、倉持くんが「くだらねえ」と呆れた溜息を吐いたのが聞こえた。
よろしくと手を取った
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