Book1

□春愁
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2 高杉

刀を鞘に納め、小さく息を吐くと、背後の影が崩れ落ちるのが分かった。

「ヅラ…!」

桂の肩からは、どくどくと大量の血が流れ出していた。
先刻まで、同じ敵を前にして戦っていた仲間。
一歩間違えば、其処に転がるただの屍。
俺達の最後の楽園はこんな場所なのか。
額に巻いた鉢巻を取り、止血をしていると桂が言った。

「…高杉…死ぬな」

「何言ってやがる。今の状況で死にそうなのは、お前の方だろうが」

「…頼む、逝くな…」

「……」


―あの大戦から、お互いの心は日に日に距離を遠くしていた。俺たちはそれから意味もなく敵を殺していた。
斬っても斬っても減らない天人を。
ただただ無心に。
そして俺は左目の視力を失った。

始めはなんとなく側にいた。今は大事なものも何だったのか忘れてしまった。
全てを奪われて、僅かに残っていた掌のモノもどうでも良くなった俺は、全てを壊すしか考えられなくなっていた。
誰かに奪われる位なら、奪う方が楽だ。

次に大切なモノは、
己の手で壊してしまおうか。









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未完…続きが思い出せません
何を書きたかったのか…リレー形式で語り部を変えていきたかったのだとは思うけれど…
続きを思いついたら随時更新します。
2015.5.20.
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