提督のmain

□あなたの温度1
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ピュッと赤城の手から矢が放たれた、加賀も赤城も矢の行方を目で追いかけた、矢はまっすぐ弧を描きながら的へむかって一直線。

トンっ!

「っ...!!」
矢は的の中心を射ていた、加賀は唖然として矢が刺さった的を眺めていた、赤城も驚いたのか目を丸くし、そして目をキラキラと輝かせながら加賀を見た。
「あたった!あたりました!!」
「...そうね、上手ね...さすがだわ赤城さん...」
道場で弓の稽古をしていた赤城の姿が小さい赤城と重なった。
キュッと胸を締め付けられる思いもあったが加賀はすぐに正気を戻し首をふるふるとふった、
「...?」
首をかしげる赤城の頭に加賀はポンと手を乗せ撫でた。
「なんでもないわ、さ、続きをは...」
そう加賀が言いかけた時、
「先輩っ!!緊急事態です!提督がすぐに来るようにと!」
その人物は五航戦であり翔鶴型一番艦翔鶴の姿だった
「緊急事態...?」
加賀は眉をピクリとひそめた、赤城が不安げな表情を浮かべながら加賀を見つめる、
「大丈夫よ、赤城さん...わかったわ、すぐに向かうわ」
スクッと立ち上がると加賀は赤城の手を引き、道場を後にした。
「かがしゃん...しゅつげきするんですか...?」
「...内容次第で出撃しなきゃならないわね...」
他愛もない会話で何気なく口を開く加賀、赤城の声のトーンが少し暗いことに気づいた。
そんな赤城を加賀は気遣いながら歩の調子を合わせていた、加賀は講堂に繋がるドアをあけ、中に入った、多数の艦娘がステージを前に互いに話しをしていた、加賀と赤城の二人が来たのを気づいたのか話をぴたりとやめ、秘書艦である長門がマイクを片手に口を開いた、
「みんな揃ったようだな、では提督...」
長門が引き下がると同時に提督が指示棒を片手に演台に立った。
「みんな、揃っているみたいだな。」
提督はぐるりと講堂を見渡した、一人一人を見た後、提督は頷き後ろにあった布をめくった、大きな黒板には地図が書いてあった。
指示棒でかんっと円形に○印で描かれたある島をさした、
「先日遠征にでていた第二艦隊、ここで水上偵察機、通称水偵だがその水偵が不可思議な深海棲艦を発見した、姿は君ら艦娘のような人型であり、大型な滑走路、および巨大な大砲を搭載している新型の深海棲艦だ、」
提督の言葉に艦娘はざわついた、
「新型の深海棲艦?!なんだそりゃあ...」
驚いて目を丸くする天龍、隣にいた龍田はニコニコと黒い笑みを浮かべながら
「あらぁ〜、ならわたしが排除しなきゃねぇ〜♩」
「龍田さん黒いオーラがすごいです(汗」
それぞれの艦娘がざわついてるなか赤城は加賀の隣で静かに話を聞いていた
「しかも道中には大型の空母も待ち構えているようだ、ヲ級ではなくこれも珍しい深海棲艦だ。」
「提督、これを迎撃するんですか??」
片手をあげ、蒼龍が意見具申をした、他の艦娘も提督の反応を伺う
「...おおがたのくうぼ?それってかがしゃんやわたしみたいな?」
「.....まさか、いえ。きっと気のせいね....」
地図の大型の空母が潜んでいる海域をみた加賀は目を伏せた、そこは紛れもなく、赤城が沈没したと報告があった海域だからだ、そんなのただの偶然だ...手に力がこもる、
「あぁ、このままでは補給路が伸びてしまい、我々に甚大な被害をもたらすはずだ、それにやたら深海棲艦の動きが活発になりつつある、だからこれを迎撃し、パシフィック(平和な海)を取り戻す為の一歩前進になるためだ。そのためには君たちの協力が不可欠だ!」
提督は真剣な表情で艦娘たちを見渡した、不安な表情の艦娘ややる気がある艦娘や様々な反応が見られた、
「でもそれはかなり危険な任務になると思うよ!何か策略などがあるの??」
疑問を投げかけたのは正規空母の飛龍だ、蒼龍の隣で腕を組んで口を開く、
「ただでさえ情報が少ないしさ、多分大掛かりな艦隊を出さなきゃ行かないと思うけど。それでもやっぱり私たちも不安だし、ね...」
飛龍の言葉に講堂はシンと静まり返る、赤城の件もあるのか飛龍も抑え気味である、
「あぁ、それももちろんだが、...飛龍の言いたいことはわかっている、だが俺たちはこれ以上引き下がるわけには行かない、だから俺は戦略を考えに考えて出した結論だ。」
提督は指示棒を黒板にさし、説明を始めた、
「まず主力の第一艦隊、続いて第二艦隊をこの南西海域に出撃させる、そして第三艦隊には道中支援を、第四艦隊は決戦支援に向かってもらおうと思う、文字通り鎮守府をあげての大掛かりな作戦だ、当然リスクも伴う、消費する資材も多大にあるのだがそこは心配はいらない、天龍や龍田、それに駆逐艦の艦娘たちが遠征に出てくれたおかげで資材に困らないようになっている、」
「やりよるなー駆逐艦や軽巡のこらは!」
「では提督、作戦の本質である艦隊の編成ですがこれは?」
龍驤の隣でその様子を聞いていた霧島がスッと手を挙げた、メガネをくいっと押し上げ提督の返事を待つ。
「そこはもう俺が決めている、大掛かりだとはいえ、消費する資材ばかり気にしても仕方はない、ではまず主力の第一艦隊から編成を発表する、」
提督は机に置いてあった紙を拾い上げその名前を挙げ出した。
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