提督のmain

□あなたの温度1
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「まず第一艦隊旗艦、正規空母加賀!!」
講堂のざわめきが一瞬で消えた、赤城は驚きの表情を浮かべ加賀をみた、加賀自身も自分が旗艦に選ばれることなど思ってもみなかったのだろう、僅かに震えているのがわかる。
「わたしが...旗艦?」
「そうだ、俺はこの作戦の適任者を選んだつもりだ、冷静に戦況を判断できる加賀にお願いしたい、」
「.....」
加賀は口を閉じた、自分が旗艦だということに混乱を覚えているのだがそれ以上に不安なものが加賀自身を追い込み始めた、
「赤城のことがあるかもしれない..だが任せられるのは加賀しかいないんだ、頼む。」
提督は少し頭を下げ、加賀の返事を待った、
「かがしゃんならできます!」
加賀が視線を赤城に落とした、赤城は加賀の手をぎゅっと握りしめ必死に訴えかけていた、
「きかんなんですよ!!ていとくさんがかがしゃんにまかせたんですよ!!きっとできます!!しんじてます!!」
『加賀さんが旗艦ならわたしも安心だわ、』
またもや赤城と重なる、口を結び静かに赤城を見つめていた加賀、
「一航戦のあんたがやらなくて誰が旗艦やるってのよ」
後ろから聞き覚えのある声がした、振り返るとそこには五航戦の瑞鶴の姿があった、いかにも不満げな顔である。
「....生意気な子ね...あなたも」
「?!あんたに言われたくないわよ!!」
赤城はその二人の様子をハラハラしながら見ていたがやがて加賀は小さく溜息をつくと提督の方を向き口を開いた
「分かったわ、その意見に乗らせてもらう、ただし一つ条件があるわ」
「あぁ、なんだ?」
「赤城さんを支援艦隊に入れてもいいかしら?」
それは周りの艦娘たちも、そして提督にも信じられないような条件だった、
「加賀!!それはどういうことだ?!」
思わず脇にいた長門が口を挟む、当然の反応だ練度もままならない艦娘を危険な出撃に出すのだから...
「そのままの意味よ、赤城さんを支援艦隊に入れること、それがわたしが旗艦に入る条件として提督に具申するわ。」
思わず長門は提督に目をやる、提督も少し驚いている、加賀がまさかこんなことをいいだすとは考えてもなかったからだ、
「....なにか案でもあるのか?」
「えぇ、そうよ。でないとわたしは旗艦はやらないわ、他の子にやらせてあげて」
加賀はそう言い終えると静かにそばにあった椅子に腰をかけた、
「....あんたね、二度も赤城さんを沈めるつもり?」
瑞鶴が口を開く、他の艦娘たちは黙って耳を傾けている、たまらず瑞鶴は加賀の目の前へでてきた、
「それ、あんた死んでこいっていってるも同然よ?なんでよ?」
「べつに主力艦隊に入れといっているつもりはないわ」
「っ...それでもね!私たちも必死なのよ?!支援艦隊は確かに敵主力と交戦はしないはず、だとしてもよ?!敵艦隊には見つかるのよ?練度の低い赤城さんが狙われるに決まってる、それをかばう方の身にもなりなさいよ!!」
「......」
加賀はそっぽを向くように瑞鶴から視線を外す、これには瑞鶴も怒りを隠すことはできなかった、
「わかった、加賀の言う通りにしよう。」
「?!提督さん!!」
「支援艦隊に赤城をいれる、それでいいんだな?」
「はい、」
「...赤城も、いいか?」
他の艦娘たちは黙って赤城に視線を向ける、当の本人は加賀の膝に座り提督と加賀のやり取りを眺めていたがやがて口を開いた、
「はいっ!!あかぎいけます!!」
「...わかった、引き続きメンバーを発表する、加賀につづいて飛龍!金剛!比叡!足柄!潮!」
呼ばれたメンバーはその場で返事をする、
「潮がっ....主力艦隊にっ?!?!」
「よかったですね!潮ちゃん!」
嬉しそうに綾波が潮の背中を撫でる、他にも漣や朧、曙などが潮を取り囲み気合を入れている、
「金剛お姉様と同じ....ひぇえええ!!比叡感激ですっ!!」
「比叡、がんばっていきましょーネ!!」
「はぃ!!お姉様ぁああ♩」
「足柄、頑張って行ってくれ、」
「足柄姉さん!羽黒、応援します!!」
「妙高型の意地を見せてきてね」
妙高型である那智、羽黒、妙高も足柄にエールを送る。
「任せなさい!飢えた狼この足柄が敵なんて圧倒させて見せるから!」
「今回は別々だね、」
「そうね、でもいいじゃん!蒼龍とわたし、どっちが多くの敵機追撃できるか、競争しようよ!!」
「いったわね?じゃあ、勝ったら負けた方が間宮の奢りね!」
「それならいいかも!俄然やる気出てきた!!」
選ばれた六人はそれぞれ姉妹艦やその他の艦から激励を受けていた、
「かがしゃんがんばってください!!」
「....ありがとう赤城さん」
フッと笑いかけ頭をそっと撫でる加賀、
「いいのですか提督、」
「なにがだ?」
提督の隣で長門は不満げに口をひらいた
「ただでさえ前に赤城を沈めてしまったというのに....今回はしかも練度が低い赤城を投入するなど、」
長門の疑問は最も妥当である、練度が低い艦娘は演習などで徐々に練度をあげ、ようやく海域に出してもらえる、そんな感じなのだが今回の赤城は演習愚か実践にすら出したことがないからだ、
「加賀になにか考えがあるんだろう、それに赤城は演習など積まなくても立派に戦える」
「決戦は一週間後だ、それまでに万全な調子で臨むこと、いいな?」
「「はいっ!!」」
艦娘たちの自信に満ちた返事。
覚悟を受け取った提督は残りの艦隊の編成も伝え、演台から降りていった
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